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植物性人工脂肪のトランス脂肪酸は健康の敵

マーガリンのような植物性油脂の方が健康に良いと考えがちですね。植物性油脂から生成される人工的なトランス型脂肪酸の健康に及ぼす影響について解説します。普段、口にしている脂について関心を持ちましょう。

西園寺 克

執筆者:西園寺 克

医師 / 感染症・健康情報ガイド

自分が口にしている脂の種類を意識したことはありますか?

最近は、健康をキーワードにした食材がブームですね。このサイトをお読みになっている方の中にも普段から健康に気を配っている方が多くいらっしゃることと思います。そんなアナタは植物性という言葉にも弱いのではないでしょうか?

今回は、ご自身が普段口にされているについて関心を持ってもらうために、植物性油脂から生成されるトランス型脂肪酸の健康に及ぼす影響についてお話をしようと思います。


普段の食生活に深く浸透するトランス型脂肪酸!

皆さんはトランス型脂肪酸という脂肪酸をご存知でしょうか?耳にしたことが無かったとしても、普段の生活で摂取されていると思います。

例えば、家庭でも天ぷらや豚カツを植物性油で揚げた時など、植物性油のような不飽和脂肪酸を多く含む油を加熱処理した時に生成されます。

他に、
  • マーガリン
  • ショートニング(無水マーガリン)
    などの食材にも含まれています。

    食材を想像してみるだけでも、私達の生活に深く浸透していそうなトランス型脂肪酸ですが、実は、天然にはほとんど存在していない脂肪酸で、健康に及ぼす影響について少し考えていただきたいのです。


    トランス型脂肪酸は花粉症やアトピー性皮膚炎にも関係します

    もともと脂肪酸は、生物学的には生体を構成する細胞膜の基本成分です。

    私達の体を構成する細胞膜の脂肪酸は、免疫学的には炎症や免疫を促進(抑制)する局所ホルモンであるプロスタグランジン系の元となります。ところが、今回ご紹介したトランス型脂肪酸は生体内でプロスタグランジン系を作る元として使うことができません。そのためにトランス型脂肪酸を含む細胞膜は局所での炎症反応の調節に障害が起きる可能性があります。

    なので、花粉症の症状にプロスタグランジン系が明らかに関係している人は、トランス型脂肪酸の摂取は控えた方が懸命です。

    もし、皮膚の細胞膜がトランス型脂肪酸を多く含むと、生体を構成する細胞膜が不安定になるために、外部からの刺激に弱くなる可能性があります。そのためにマーガリンの摂取量とアトピー性皮膚炎との関係も示唆されています。


    次のページでは、どのようにトランス脂肪酸の摂取を避けるか?授乳中の方への注意などについてお話いたします>>次のページへ
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