【ヴィッセル神戸 広報・宣伝部】岩元 里奈さん京都のサッカークラブチーム広報担当を5年務め、ヴィッセル神戸へ転職して6年目。広報として活躍中。 |
話 題 度 ★★★★☆
難 易 度 ★★★☆☆
かかる費用 ★☆☆☆☆
就きたい仕事ランキングでは男女を問わず上位に入ることの多い「広報」の仕事。そのなかでも、ひときわ人気の高いスポーツクラブチームの広報の方にお話を伺いました。ヴィッセル神戸 広報の岩元さんが語るこれまでの道のり、そして「広報」の仕事について、ご覧ください。
「この会社で雇ってください」社長へ突撃 ~サッカーの世界へ~
大学1回生のとき、先輩にさそわれてサッカーのクラブチームでアルバイトをするまで、サッカーとは全く縁のない生活をしていました。アルバイト先は、京都パープルサンガ。スタジアムでアナウンスをしたりチケットを数えたり、あらゆる仕事をさせてもらいました。アルバイトをはじめて1年後、突然日本中で沸き起こったJリーグブーム。当時の京都パープルサンガも本格的にJリーグを目指すことになり、会社が大きくなっていきました。進路を決める大学4回生になったころ、サッカーのクラブチームで働きたいと思うようになり、鹿児島の実家へ進路の希望を伝えたところ、両親は大反対。そこで「サッカーの仕事をしたい。でも会社が雇ってくれるかどうかわからないから、チャレンジして、もしも結果がダメなら荷物をまとめて鹿児島へ帰ります」と、両親と約束をしました。
アルバイトではスタジアムでの仕事だけでなく、事務所で社員の仕事も手伝っていたので、社長とも面識がありました。そこで、チャンスを狙って社長へ「この会社で雇ってください」と直談判。あのときの社長の驚いた顔、交わした言葉は、今でも忘れることができません。「チームがJリーグへ昇格したら、スタッフを増やす。もしも今季昇格が決まったら、声をかけるよ。」と約束してくださいました。そして、チームは見事Jリーグへ昇格。社長は約束どおり社員への道を用意してくださり、本格的にサッカーの世界へと踏み出すことになったのです。
「ちゃんと仕事がしたいと思ったら、人前で泣くのを止めなさい」 ~先輩からのアドバイス~
入社後、右も左も分からない状態から広報担当として仕事をはじめました。先輩はとても厳しい人で、原稿の校正(文字の誤りを正すこと)漏れがあれば怒られる、プレスリリース(企業・団体などが広報のために、報道関係者に向けて配布する印刷物)を書いても、すべての内容を赤ペンで修整されました。試合のときに、2つのテレビ局の中継が入っていたときのこと。テレビ局の方々には、専用のパスを渡すのですが、100枚用意しているパスの中から、私はAテレビ局の方に1~30番を、Bテレビ局の方々に31~60番を渡したのです。それを見ていた先輩が「Aテレビ局は1~30、Bテレビ局は71~100を渡しておけば、番号を見ただけでどちらのテレビ局か分かるし、急にスタッフが増えたときでも、連番でパスを渡せるでしょう」と、随分怒られました。広報は、あらゆる出来事を予測した上で仕事をする。それがどれほど大切なことなのか教え込まれました。
「よくこんなに私のことを怒っていられるな」と思うほど、怒られ続ける日々。ある日我慢できなくなり、人前で涙を流したことがありました。その様子を日ごろから色々とアドバイスしてくれていた女性の新聞記者が見ていて、先輩に怒られたあと、別室に連れて行かれ「人前で泣くと、“だから女の子は”と言われる。ちゃんと仕事がしたいと思ったら、人前で泣くのを止めなさい。トイレではいくら泣いてもいいから。」とアドバイスをしてくれました。
広報のイロハを厳しく教え込んでくれた先輩、女性として仕事をするために気をつけるべきことを教えてくれた女性など、周りの方々に恵まれていたのだと思います。
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