転職のノウハウ/内定・入社・退職手続き

ルールに従うだけでは完璧じゃない! 円満退職の極意は人間関係にあり(2ページ目)

退職に際してはさまざまな手続きが必要ですが、もっと大事なことは、不要な波風を立てずに退職するということ。人間関係に配慮することこそが大事なのです。

執筆者:西村 吉郎

とはいえ、同僚との間では、仕事量が増えること以外に、大きな利害関係はありません。ですから、同僚といい関係を保ったまま退職するには、残務整理や引き継ぎを完璧に行うよう心がければいいのです。取引先にはきちっと退職の挨拶を欠かさず、これまで自分が担当してきた仕事については、読んでもらえば十分に理解できるくらいの引き継ぎノートを作成しておきましょう。

幅広いネットワークを持つことがビジネスマンとしての条件の一つとして挙げられる時代です。せっかく築いた人間関係が、退職間際に不愉快な思いをさせたということだけで断ち切れてしまうのはもったいないことです。


対先輩との関係

無視できないチーフの立場 上司から伝わる前に相談を

職場の上司といえば課長クラスになりますが、日常の仕事を進める上では、班長、チーフ、ディレクターなど、いわゆる係長の立場にある人とより密接な関係を持って仕事にあたっているはずです。そのため、社員一人ひとりの力量、性格、勤務態度などをしっかりと把握しているのはこのクラスだったりします。と同時に、ふだんからアフターファイブの付き合いも多く、能力があって、意欲を持って仕事をする後輩に対しては、当然、期待していろいろ面倒をみてくれたりもするものです。

それだけに、メンバー一人が抜けることによるパワーダウンの程度、対外的な影響などについてもっとも心配するのもこのクラスです。公私にわたっての付き合いがあるだけに、後輩の転職後の行く末について、課長以上に心配することもあります。

そんな立場、これまでの関係からしても、後輩から、転職するにあたって自分には何ら相談も説明もされないというのでは、相当淋しいものがあるでしょう。裏切られたという思いから、突き放したくなる人もいるかもしれません。

退職の意思表示は課長クラスにするのが原則ではありますが、チーフなどの立場にある人を無視することはできません。上司に意思表示したあと、上司からそれが伝わる前でも後でも、とにかく自分の口からきちんと説明して、協力をお願することが肝心です。信頼のおける先輩なら、上司に伝える前に、転職することについての相談を持ちかけてみるのもいいでしょう。


対社外との関係

社内の人間関係以上に気をつけたい社外との関係

会社関係での人間関係の悪化は、ひとり自分が嫌われて損するだけですみますが、こと取引先など社外との人間関係をこじらせてしまうと、会社同士の取引関係にまで影響をもたらすことになります。最悪の場合、契約解除となって、実質的な損害をもたらさないとも限りません。

建設会社や商社、編集プロダクション、広告制作会社などで固定した受注先を抱えて仕事している場合や、ルートセールス営業で顧客を抱えている人は、何よりも先がけて、取引先との関係維持に努める必要があります。

具体的には、後任者を連れて挨拶に出向き、新しい担当者として先方に紹介することです。できれば、退職までの間に何回かは打ち合せや契約の場に立会い、後任者と二人で対処していくようにするべきでしょう。

取引先に対する引き継ぎを完璧に行うことは、自分自身と取引先との関係を維持するためにも欠かせません。たとえ転職して、これまでとはまったく異なる業界や職種に従事するすることになったとしても、転職先でも、巡り巡ってこれまでの取引先との関係が生じることもあるからです。営業職では、仕事を通じて培った顧客とのつながりに期待されることもあります。

また、入社する際に何らかの形でお世話になった人がいる場合は、紹介者と会社との関係維持に配慮することも忘れてはなりません。退職願を出す前に挨拶に出向き、せっかく紹介してもらった会社を辞めてしまうことの非礼を詫びるとともに、これからのキャリアプランについて、しっかりと展望を持って説明する必要があります。


参考記事
円満退職のための 完璧な残務整理・業務引き継ぎ術
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