水まわり設備/水まわり設備の基礎知識・選び方

住まいの水栓金具の種類と特徴&選び方のポイント

水まわりにかかせない水栓金具。キッチンやバス・サニタリーの使い勝手や快適さに大きく影響する設備機器です。ここでは、選ぶ前に知っておきたい水栓金具の種類と特徴をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

機能性もデザイン性も高まっている水栓金具

シンクのすみずみまで洗い流せるので、効率よく水を使用できる。台付シングル混合水栓[ニューウエーブシリーズ]undefined TOTO undefinedhttp://www.toto.co.jp/

シンクのすみずみまで洗い流せるので、効率よく水を使用できる。[ニューウエーブシリーズ 台付シングル混合水栓]  TOTO

水栓金具とは、給水・給湯管の末端部分に取り付けられる器具のこと。ハンドルもしくはレバー、スイッチなどで吐水・止水するものを指します。キッチンやバス・サニタリーなど、使用目的や用途によって、さまざまな機能や形状の種類が揃っています。

最近の水栓金具は、機能性もデザイン性も高まっており、国産品はもとより輸入製品など、その商品バリエーションは豊富。使い勝手はもちろん、空間デザインに適したタイプを選ぶことができるでしょう。

ハンドルの形状や吐水・止水方法など、分類方法もさまざま

住まいで用いられる水栓金具には、いくつかの分類方法があります。たとえば、湯水混合の方式(お湯と水を調節する方法)には、ツーハンドル(バルブ)混合水栓、シングルレバー混合水栓、サーモススタット混合水栓、単水栓など。止水方法では、定量止水栓やセルフストップ、自動タイプ、タッチレス水栓などがあり、足元で操作できるフットスイッチもみられます。

使い勝手を高める機能が付加された水栓としては、ハンドシャワー付きのもの、浄水機能が搭載されたタイプなどがあり、また、デザインの特徴から、グースネック・スワンネック(がちょうや白鳥の首のようなカーブを描いたもの)などと呼ばれる商品もみられます。

その他、設置する方法によって、壁付けやデッキ(シンクやカウンターなど)に取り付けるタイプのものなどに分けることも。既存の配管などに合わせやすいリフォーム向けのタイプなどもみられます。それぞれ、キッチンやバスルーム、洗面など、設置する空間にあわせた機能、使い勝手を考慮したタイプが揃っています。

住まいで用いられる主な水栓金具の種類と特徴

■湯水混合の方式での分類
・ツーハンドル(バルブ)混合水栓
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クラシカルなデザインが空間のアクセントに。湯水混合水栓 [ELSA] セラトレーディング

給湯・給水のハンドルが別になっているもの。ふたつのハンドルで、温度と流量を調節する湯水混合栓です。

・シングルレバー混合水栓

ひとつのレバーハンドルの上下操作で吐水・止水ができ、左右の操作で湯水の混合ができるもの。片手でも操作できるなど、使い勝手も楽なことから、ツーハンドルに変わって主流となっています。

・サーモスタット混合水栓
水圧や水流が変化しても、急激に温度変化することがなく、設定したお湯の温度を保ち続けることができるもの。主にバスルームで使用される水栓金具です。

・単水栓
水もしくはお湯だけがでるもの。横水栓、立水栓、自在水栓などがあり、いわゆる「蛇口」というタイプ。屋外用、洗濯機用などで用いられています。

■止水方法での分類
・スイッチ式の水栓
通常モードでは、上センサーに手をかざすことで水の止水・吐水をコントロール、節水モードで、通常モードよりさらに節水。洗い物や手を近づけた場合のみ吐水し、はなすと止水。出しっぱなしを防ぐ。 [パナソニックLクラスキッチンundefinedスリムセンサー水栓]パナソニック エコソリューションズhttp://sumai.panasonic.jp/

通常モードでは、上センサーに手をかざすことで水の止水・吐水をコントロール、節水モードで、通常モードよりさらに節水。洗い物や手を近づけた場合のみ吐水し、はなすと止水。出しっぱなしを防ぐ。 [パナソニックLクラスキッチン スリムセンサー水栓] パナソニック エコソリューションズ

水栓の先端などにあるスイッチを、手の甲や手首でタッチすることで吐水・止水するタイプ。ハンドル操作がいらないので、両手がふさがっていても操作可能です。キッチンで多くみられますが、浴室用の水栓には、軽く押すだけで操作できるタイプも。こまめに水の出し止めができるので、節水にも役立つでしょう。

・フットスイッチ
足元のスイッチを踏む(押す)ことで、吐水・止水するもの。両手で洗い物ができるため、システムキッチンのオプションなどで設定されているケースがあります。

・タッチレスタイプの水栓
手をかざすだけで水が出るセンサー付きの水栓金具。再度かざすと止水します。調理中でも水栓を汚すことがありません。

・定量止水式水栓
設定した湯量に達すると自動的に止水する機能がついたもの。バスタブにお湯を貯める時のバス水栓で用いられています。最近は給湯器にこの機能がついているものも多くなっています。

■使い勝手のいい機能を持たせたタイプなど
・シャワーバス水栓
洗い場に用いるタイプのシャワーバス水栓。曲線のデザインが個性的。[ニューウエーブシリーズundefined壁付サーモスタット混合水栓] TOTOundefinedhttp://www.toto.co.jp/

洗い場に用いるタイプのシャワーバス水栓。曲線のデザインが個性的。[ニューウエーブシリーズ 壁付サーモスタット混合水栓]  TOTO 

バスルームの洗い場に設置する水栓で、シャワー機能を付加させたもの。洗い場の壁面に取り付ける壁付きタイプとカウンターや浴槽縁部分などに設置するデッキタイプ(台付きタイプ) があります。

・バス水栓
バスタブに水やお湯を貯めるためのもの。浴槽に吐水するために吐水口が長めになっているのが特徴。バスタブ脇に取り付けるデッキタイプ、壁に取り付けるタイプがあります。

・ハンドシャワー付混合水栓
キッチンや洗面化粧台で用いられることの多いタイプ。ホースを引き出すタイプのシャワーがついた水栓で、シンクやボウルの隅々まで洗い流すことも可能です。

・浄水機能付(兼用)水栓
浄水器(清水器)の機能を搭載した水栓金具。シンク下部にカートリッジを設置するアンダーシンクタイプと水栓金具の本体にカートリッジを内蔵したタイプがあります。

■特別な用途に用いられるタイプ

・洗濯機用の水栓
ペットのシャンプーだけでなく、ガーデニングなどでも便利に使うことができる。[ペット用水栓柱]undefinedLIXILundefinedhttp://www.lixil.co.jp/

ペットのシャンプーだけでなく、ガーデニングなどでも便利に使うことができる。[ペット用水栓柱] LIXIL

洗濯機のホースに簡単に接続することができるもの。場所を取らないガス栓やコンセントのような形状のタイプも。通水中に給水ホースが外れても水が自動的に止まる機能がついたものもあります。

・散水栓

庭やカースペースなどで使用するために設けられる水栓のこと。鉄など蓋つきのボックスを埋め込み、その中に設置されるタイプ、柱などを立て水栓金具を設置するタイプ(立水栓)があります。また、ペットの散歩帰りなど、足を洗ったりシャンプーをするのに便利なペット用の商品もみられます。

・太陽熱温水器用の水栓

太陽熱温水器の場合に用いるもの。レバーで切り替えが可能な他熱源併用タイプもあります。

傾向はエコロジーとユニバーサルデザイン

シンプルなデザインはどんな空間にも馴染む。節水機能を持つ、洗面器・手洗器用の水栓金具。[シングルレバー混合水栓 クロマーレS] LIXILundefinedhttp://www.lixil.co.jp/

シンプルなデザインはどんな空間にも馴染む。節水機能を持つ、洗面器・手洗器用の水栓金具。[シングルレバー混合水栓 クロマーレS]  LIXIL 

水栓金具の傾向は、まず、エコロジー性能のアップが挙げられるでしょう。

たとえば、シングルレバー混合栓では、レバーハンドルが正面の位置で水のみが出るなど、水と湯をしっかりと使い分けができ、無駄に給湯器(給湯システム)を作動させないようにしたものが多くみられますし、流水に工夫を施して吐水量を減らし、節水を可能にしたものも揃っています。まめに止水することができるスイッチやタッチレスタイプの水栓であれば、節水効果も高まるでしょう。

また、誰もが使いやすいユニバーサルデザインもポイント。大きく握りやすいハンドル、手元のスイッチで吐水・止水を行うもの、システムバスのカウンター部分に水栓金具を組み込み、使い勝手と安全性を高めたタイプなどもみられます。

システムキッチンやシステムバスなどの多くは、設定された水栓から選択

造作で水まわりをプランニングする場合は、基本的に、自由に好みの水栓金具を選ぶことができますが、システムキッチンやシステムバス、洗面化粧台などの商品を取り入れる場合は、あらかじめ設定された水栓金具から選ぶケースが多いでしょう。設定されている水栓金具は、メーカーや商品によって異なるので、こだわりがある場合など、事前に、どのようなタイプを組み合わせることができるのか、確認しておくことも必要でしょう。

使用する場所はもちろん家族構成やライフスタイルに適したものを

最近の水栓金具の傾向は、すっきりとしたシンプルなデザイン。輸入品や国産品ともに、魅力的な商品が多く提案されています。用いる場所に適する機能や性能、デザインの水栓金具を取り入れることは基本ですが、家族構成やライフスタイルに考慮して選ぶことも忘れずに。幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合など、使いやすさには十分に配慮したいものです。ショールームでは、実際に動かしてみて、操作性の確認を。実際に水を流すことができる場合は、水流の違いなどもチェックしておくことをおすすめします。


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