マンション物件選びのポイント/マンションの防音・騒音対策

静かに眠れるための遮音性能はどのくらい?(2ページ目)

ぐっすり安眠できるためには、どのくらいの遮音性能が必要なのでしょうか?また、安眠するためにオススメの床仕上げ材をご紹介いたします(初出:2007年5月 改訂:2014年8月)。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

軽量床衝撃音にはカーペット、畳が有効

遮音性、クッション性、防炎性、保温性、通気性・・・高性能を備えたいろいろなカーペットが出ている(写真提供:サンゲツ)

遮音性、クッション性、防炎性、保温性、通気性・・・高性能を備えたいろいろなカーペットが出ている(写真提供:サンゲツ

スプーンやコップを落としたときの「カーン」という音、スリッパでパタパタ歩く音など「軽い音」対策により効き目があるのが、カーペットや畳などの仕上材です。

現在マンションの床仕上材で人気があるのはフローリングですが、特に音が気になる方はカーペットや畳仕上げに変更すると良いでしょう。また、ただカーペットや畳にすれば良いというわけではなく、より遮音性の高い種類を選ばなければいけません。

遮音効果の高いカーペット「ガンガバック」

カーペットで遮音性が期待できるものに、ガンガバックがあります。ガンガバックはアメリカで開発された比較的新しいシステムで、カーペットの裏面にポリウレタンフォームを発泡させた素材を張り付けて遮音性を高めています。
ガンガバックを用いたカーペットの断面図

ガンガバックを用いたカーペットの断面図



遮音性能L-35をクリアしているものもあるほか、クッション性、保温性、通気性があり、自己消火性もあります。従来のカーペットと比べ重量も軽く、扱いやすいカーペットです。

 

畳を選ぶ時の注意点

畳では、畳床を用いた畳で厚さ55mm以上のものは遮音性があるとされています。また、最近のマンションではおなじみのポリスチレンフォームがサンドイッチしてある畳床でもやはり厚さ55mm以上のものが目安となります。遮音性を期待したい場合はどんな畳が使われていて、厚みはどのくらいあるのかチェックするようにしましょう。
 

マンションのスラブ厚は27cm以上が理想

ドシーンという音の対策では床のコンクリートの厚みが重要です。遮音性は床の厚みだけではなく床を支える梁の位置や梁と梁に挟まれる面積でも左右されますが、静かに眠れる寝室の条件としては床の厚さは27cm以上あると良いでしょう。マンションの床振動を抑えるためには33cm程度の厚さが必要と言われていますが、実際には高級マンションでも25cm~27cmのものが多いようです。

騒音問題の解決の糸口

少なくとも上下左右の住戸の人とは顔見知りになっておきましょう

少なくとも上下左右の住戸の人とは顔見知りになっておきましょう

静かに眠れる寝室の条件は上記のように床の厚みや仕上材、上下左右に接する他住戸の間取りなども関係があり、これらのことは、マンションを購入する際に注意したり、住み始めてからも床仕上げ材の工夫で対応することもできます。

音の問題を避けるために、マンションは多くの家庭の集合体であり「なるべく迷惑をかけない」という心掛けや、ある程度は「お互いさま」という考え方も必要です。最低でも上下左右で接している住戸の方とは顔見知りになり、ご近所付き合いをしていくこともトラブルの予防になります。

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