マンション物件選びのポイント/マンションの構造・耐震性

過去の大地震にみるマンションの耐震性能(4ページ目)

2011年の東日本大震災(M9.0)は世界で4番目の大きな地震となりました。今回は過去の大地震と当時の建物被害の状況を振り返り、現在のマンションの耐震性能と地震の備えについてまとめます。(初出:2008年6月/改定2018年3月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

日頃からしたい地震対策

今までお伝えしたように、1981年以降に建てられた建物では一定以上の耐震性が期待できます。しかし、せっかく家が丈夫でも、転倒した家具の下敷きになって犠牲になるようなことは避けなければなりません。真っ先にしておきたいことは、倒れてきそうな家具を固定することです。

突っ張り棒で家具を固定し、フェイクグリーンで突っ張り棒を隠している。

突っ張り棒で家具を固定し、フェイクグリーンで突っ張り棒を隠している。


地震対策としては置き家具を極力しないことがベスト、でも家具を置く場合は突っ張り棒やチェーンで家具を壁や天井に固定しましょう。大地震では重たいテレビですら飛んでくる可能性がありますので、家電製品はベルトや耐震マットなどで固定しましょう。

 

まずは寝室から地震対策を 

寝室のテレビ・パソコンにはお手軽で簡単な耐震マットで地震対策をしましょう。

寝室のテレビ・パソコンにはお手軽で簡単な耐震マットで地震対策をしましょう。

突っ張り棒やチェーン、耐震マットなどはホームセンターなどで購入できます。ぜんぶいっぺんにやるのは大変、と感じる方は、特にお子さんやお年寄りが長くいる部屋や、寝室などから始めましょう。

耐震マットはテレビやパソコンの足の部分に張るだけです。すでにオフィスの地震対策でも取り入れられています。

これからマンションを購入される方はなるべく置き家具をしなくて済むように、クロゼットや収納が充実した間取りを選ぶようにすると良いですね。

 

おから工事で被害が大きかった四川省大地震

2008年の中国四川省の大地震では建物・人命に甚大な被害が出ましたが、被害があそこまで大きくなったのはおから工事という手抜き工事が原因と言われています。

中国・四川省の大地震では建物に甚大な被害が発生しました※4)

中国・四川省の大地震では建物に甚大な被害が発生しました※4)


日本では確認申請を通らなければ建物を建てることができないため、設計図の段階では「新耐震基準」に基づいた内容になっているはずですが、その設計図に基づいてきちんと施工されなければ意味がありません。

手抜き・欠陥がなくきちんと施工されたマンションかどうかということは、その建物の耐震性を左右するとても大切な条件となります。

 

【写真提供】
※1~4)
吉嶺充俊, 地震被害写真集 首都大学東京 土質研究室, 2001-2007 

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