ラーメン/東京のラーメン

人気店になるのは一朝一夕ではできない。 「九段斑鳩」名店への道(2ページ目)

人気ラーメン行列店になった、「九段斑鳩」の知られざる秘話。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

■斑鳩の開店当初の「味玉らー麺」■
前ページの写真と比べるとスープの色が明らかに違う。

【その2】
 かつて九段下には、そんなにラーメン店がなかった。そういう街に行列店を作ることは、かなり魅力のあるラーメンを出さないことには難しい。それを実現してしまったのが「九段斑鳩」である。

 元々はアパレルの会社で、他のラーメン店の開業と比べると資金はかなりあったらしい。それを店舗と食材に注ぎ込んだ。

 まず内装は黒を基調とした和風の趣で大正ロマンを感じさせる。そんな中に九谷焼が飾ってあったり、照明の感じもセンスが溢れている。店員のユニホームや店主の髪型も要チェック。おしゃれだ。女性を連れて行っても喜んで貰えること間違いなし。

 次に食材。化学調味料に頼らず、高級料亭で使う本枯れ鰹をはじめ、厳選の天然素材を二十種類ほど使っているのだ。当然ながら他店と比べて原価もかなり高い。もちろんいい材料を使えば誰にでもうまいものができるとは限らない。バランスが大事。それを物の見事に調和させているのだからたいしたもんだ。

 ネットの感想で「スープがぬるい」と書かれることがある。確かに人によっては、ぬるいと感じる温度なのかもしれない。でも、それを承知で出しているはず。素材を活かす最高の状態を何度も何度もシミュレーションした上での結果だから。

 同じようなこだわりが他にもある。ラーメンには付き物のネギを使っていない。風味を大事にするためだ。常識なんて関係ない。自分が美味いと思う理想のラーメンを提供するのがポリシー。そんな気迫すら感じさせる。

 いつもニコニコしているように見えるが、実はラーメンに対してはかなり頑固なのである。一時期評判だった「つけ麺」がメニューから消えて久しい。復活を望む声が多いにも関わらず出てこない。理由は「自分の納得する物が提供できないから」。前の味で好評だったにも関わらず、この考えは崩さない。これは新しいタイプの頑固ラーメン店主かもしれない。ここまでこだわる店主が作るらー麺。美味しくないはずがない。女性同伴で、株をあげよう。

【DATA】店名:九段 斑鳩(いかるが) 最寄駅: 九段下  住所: 千代田区九段北1-9-12(専大通り沿い、日刊工業新聞並び) TEL: 03-3239-2622 営業時間: 11:30-14:30、18:00-23:00スープ切れ終了 祝日の夜の部は21時迄  休日: 土日 メニュー: らー麺650 特製らー麺880 煮玉子らー麺750 油そば770
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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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