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iPod touchがゲーマーにピンとこない理由(4ページ目)

2009年9月にアップルが行ったイベントで、iPodファミリーの刷新発表がありました。そこでは、iPod touchにおけるゲームについてのアピールもあったのですが、どうもその内容がピンとこないのです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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iPod touchの新しいゲーム世界

全く新しいゲームの世界を創造しつつあるiPod touch。だからこそ、今までのゲームと比べるようではなくて、その独自性を知らしめて欲しいと思います。(イラスト 橋本モチチ)いわゆる、ゲームが大好きなゲーマーの中に、iPod touchに対してピンとこない人がいるのは当然のことです。いくらアップルがDSやPSPと比較することで、ゲームハードとしてのiPod touchをアピールしても、実際には今までのゲームのあり方とは別次元の商品であるからです。その落差は、音楽がCDやMDからiPodになった時よりも、遥かに大きいものです。何しろゲームコンテンツがいかなるものであるかという部分からして全く概念が異なります。

iPod touchでヒットしたアプリケーションにピアノの鍵盤を表示してタッチすることで演奏できるものがあります。なかでも有名なFinger Pianoを例にとると、鍵盤の上部にタッチする場所が示され、順番にタッチすることでピアノ初心者でも曲が弾けるというソフトです。画面は基本的に鍵盤だけ。豪華なBGMも、楽しいキャラクターも、リズムをにあわせてボタンを押して高得点をとればご褒美が、なんて仕掛けもありません。シンプルすぎてDSやPSPのパッケージソフトなら商品化することすら困難かもしれませんね。

でも、そういう遊びはあっていいはずです。ゲームかどうかは分からなくても、タッチパネルをピアノにして遊ぶというアイデアは良く分かります。そしてこのデジタルなピアノをちょっと触ってみたいという人がたくさんいれば、コンテンツとして成立します。iPod touchやApp Storeが持つ世界というのは、ゲームエンターテイメントという概念なんて簡単に飛び越えて、そういうちょっとした遊びまでをのみこんで新しいコンテンツが生まれるんです。世界中の人が毎日毎日新しい遊びを考える、そういう場所なんです。

それをわざわざDSやPSPを引き合いに出して、ゲームの数が多いとか、価格が安いとか表面的な数字を抜き出して比べたところで、やっぱりピンときません。たった1つのゲームが他の全ての要素を凌駕してしまうことがあるのがゲーム業界です。同じ土俵で語るのであれば、ポケットモンスターシリーズに匹敵する人気コンテンツをどうやって生み出すか、というようなことを考える必要があるんです。

もちろんわざわざそんなことをしなくても、iPod touchはゲームハードとして、今までのゲーム業界と全く違う形で発展しつつあります。手のひらサイズのポケットコンピューターが全世界の作り手が生み出す遊びに繋がる、そういう革新性を持つものです。既存のゲーム業界と比較するようなことではなくて、全く新しい価値が生まれつつあることをもっと多くの人にアピールして、ゲームの世界を広げていって欲しいと願います。

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