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モネ、セザンヌ 印象派から後期印象派へ(3ページ目)

日本でも人気の高い、印象派のクロード・モネと、後期印象派のポール・セザンヌ。2人の画家を中心に紹介する「巨匠で見るアート」第5回。

執筆者:橋本 誠

印象派をさらに展開させたセザンヌ

サント・ヴィクトワール山
ポール・セザンヌ《サント・ヴィクトワール山》
光や色を重視した印象派の傾向について、ポール・セザンヌ(1839-1906)は理解を示しつつも異を唱えました。彼の有名な言葉に、「モネはひとつの目にすぎない。だが、なんとすばらしい目だろう」というものがあります。

セザンヌは、単に網膜に映るつかの間の印象だけではなく、基本的な形や固有な色を画面に留めようとしました。

例えば、作品《サント・ヴィクトワール山》では描く形を単純化し、ごく限られた色とわずかな線によって風景を描きました。色使いはモネなどの印象派風ですが、色数や筆の入れ方を最小限に抑えているように見えます。彼はこうすることで、描くものの特徴を純粋に表現できると考えたのです。

後にはさらに一歩進んで、風景でも人物でも、その一部を省略したり、変形したりする作風を打ち立てました。

後期印象派の画家たち

グランド・ジャット島の日曜日の午後
ジョルジュ・スーラ《グランド・ジャット島の日曜日の午後》1884-86年
セザンヌのように、印象派の延長にいながらも、色の単純化に本質を求めるなど、新しい考えや手法を持って制作に臨んだ画家たちは「後期印象派」とされています。

ジョルジュ・スーラ(1859-1891)は、印象派に特徴的である様々な色の絵具を塗り重ねることで豊かな色彩を表現する手法を取りましたが、規則的な天描(※)により画面をつくりあげました。そのためスーラの作品には、独特の不思議な印象が漂っています。
※線や塗りを全て細かい「点」を描くことで表現する手法。

種まく人
フィンセント・ファン・ゴッホ《種まく人》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)も後期印象派の画家だと言えます。彼の筆使いは荒々しいものですが、様々な色彩を織り交ぜた線の塗り重ねで描かれており、点描ならぬ線描であることがお分かりいただけると思います。

ゴッホの内面の感情をも表すかのような強烈な色使いと筆致は、20世紀のフォーヴィスムや表現主義に受け継がれていきます。

【関連記事】【関連サイト】
  • 19世紀絵画教室…19世紀の絵画を紹介するサイト。クールベやマネの作品紹介もあり。
  • アート at ドリアン…西洋美術史の運動様式に沿って説明と画像を掲載しているサイト。


いかがでしたでしょうか。モネに代表される印象派と、セザンヌなど後期印象派の画風は似ているようでかなり違いがあることがお分かりいただけると思います。比較してみるのも面白いですね。

「巨匠で見るアート:近・現代編」の次回は、フォーヴィスムの作家、アンリ・マティスなどを取り上げます。お楽しみに!
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