アート・美術展

「北斎とジャポニスム」の見どころは?モネと夢の共演

天才浮世絵師・葛飾北斎は、日本のみならず世界各国の芸術家達に熱狂的に愛され、印象派が生まれるなど美術の歴史を大きく変えました。「北斎とジャポニスム」は、北斎の錦絵や版本とともにモネやドガ、セザンヌなどの彼に影響を受けた西洋芸術画が共演する豪華な展覧会です。この展覧会をよりおもしろく見るためのレポートをおとどけします。

浦島 茂世

執筆者:浦島 茂世

美術館ガイド

「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」
招待券を5組10名様にプレゼント!

「浮世絵」と聞き、多くの人が最初に思い浮かべる絵師、葛飾北斎。「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』をはじめ数多くの名作を残し、現在もなお多くの人々に愛されています。そんな北斎の芸術は、19世紀後半に活躍したヨーロッパの芸術家たちにも強い衝撃を与え、その後の印象派やアール・ヌーヴォーの誕生の原動力となるなど、美術の歴史そのものを大きく変えるものとなりました。

葛飾北斎≪冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二≫

葛飾北斎の描く藤さんも、ヨーロッパで様々に解釈された


国立西洋美術館で2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)まで開催中の「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」は、西洋の芸術家たちと、北斎との関係を探っていく話題の展覧会です。

これを記念して、この記事を読んでいただいたAll About読者を対象に同展覧会の招待券を5組10名様にプレゼントします。

応募を希望する方は、以下の専用ページ(※)より必要事項とキーワードを記入のうえ、ご応募ください。応募締切は2017年11月27日(月)23:59まで。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

※こちらのキャンペーンは終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。


■「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」招待券プレゼント応募ページ

キーワード:北斎漫画

※ご応募いただくには、株式会社オールアバウトライフマーケティングが運営するサンプル百貨店への会員登録が必要となります。当選者には、株式会社オールアバウトライフマーケティングより賞品を発送させていただきます。


展覧会のタイトル、「ジャポニスム」とは?


(右)葛飾北斎《冨嶽三十六景undefined東海道程ヶ谷》1830-33(天保元-4)年頃undefined横大判錦絵undefinedミネアポリス美術館undefined Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237undefinedPhoto: Minneapolis Institute of Art (左)クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年undefined国立西洋美術館(松方コレクション)

(右)葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》1830-33(天保元-4)年頃 ミネアポリス美術館  Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237 Photo: Minneapolis Institute of Art (左)クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館(松方コレクション)

200年以上の間、鎖国体制を取っていた日本。開国すると同時に、日本には西洋の文明がどっと入ってきましたが、西洋もまた日本文化に急速に魅せられていきます。特に、大胆な構図の浮世絵、超絶技巧な工芸品はもちろん、日本文化の多くに関心が寄せられました。そうしたなかで、日本の表現を積極的に取り入れていき、独自の芸術に発展したのが「ジャポニスム」です。

そのなかで、とくに西洋の芸術家たちに大きな影響を与えたのが葛飾北斎でした。たとえば、北斎は《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》で、松の並木を繰り返し描きましたが、浮世絵の大コレクターでもあった画家、クロード・モネは《陽を浴びるポプラ並木》で同じような構図でポプラを描いています。

展覧会ではこの2点を隣あった形で展示。

クロード・モネundefined 《陽を浴びるポプラ並木》と葛飾北斎undefined 《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》

(左)クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館(松方コレクション)と、(右)葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》1830-33(天保元-4)年ころ ミネアポリス美術館 夢の共演!



モネが北斎をどのように解釈し、独自のスタイルにしていったのかが、その場で分かるようになっています。

(左)葛飾北斎『北斎漫画』十一編(部分)刊年不詳undefined浦上蒼穹堂 (右)エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894年undefinedパステル、紙(ボード裏打)66×47cm  吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)

(左)葛飾北斎『北斎漫画』十一編(部分)刊年不詳 浦上蒼穹堂 (右)エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894年 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)




また、バレリーナの作品でも知られるエドガー・ドガは、『北斎漫画』に登場する力士と同じように、踊り子の手を腰に当てさせました。展覧会場では、北斎漫画の該当ページを見ながら、左右に置かれた油彩画とブロンズと見比べて見られるように作品が配置されています。

ドガが参考にしたと思われる「北斎漫画」を作品とともに見ることができる

ドガが参考にしたと思われる「北斎漫画」を作品とともに見ることができる



この展覧会は、北斎の作品と西洋の作品を同じ空間に展示し、北斎がいかに西洋の美術に影響を及ぼしたかを丹念に追っていきます。そのため、西洋作品は約220点、北斎の錦絵が約40点、版本が約70冊と展示数は非常に膨大なものになっています。なので、時間に余裕を持って鑑賞することをおすすめします。

モネと北斎を同時に眺める!

モネと北斎を同時に眺める!


会場は、章ごとに壁紙の色を変えて華やかな雰囲気

会場は、章ごとに壁紙の色を変えて華やかな雰囲気

 

芸達者な北斎の魅力が詰まった展覧会

展覧会で驚くのは、西洋の人たちの北斎の受け入れ方です。ある画家は大胆な構図を、別の画家は動物の可愛らしさを、さらに別の画家は描写の緻密さなど、芸術家たちは北斎の芸術を、自分に都合がよい部分を受け継いでいるのです。だから「北斎の影響」のバリエーションは膨大なもの。ここまで様々な切り取られ方をしているのは、芸達者な北斎ゆえかもしれません。

そして、葛飾北斎自身の才能にも驚かされます。富士山や人物画だけでなく、繊細な植物画や春画(!)など、あまり知られていない北斎の世界も発見できるでしょう。

北斎は90歳で亡くなるまで、人物はもちろん、動物や自然を自由な視点で、大胆な構図で貪欲に描き続けました。そして、彼に影響を受けた芸術家たちはさらに新しい芸術を作り出しています。北斎、そして西洋の芸術家たちのクリエイティビティをしっかり感じられる展覧会です。



「北斎とジャポニスム」について

展覧会名称:北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃
会場:国立西洋美術館
会期:2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日) ※会期中展示替えあり
開館時間:9:30~17:30 金曜日、土曜日は20:00まで(11月18日を除く)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、12月28日~1月1日、1月9日(火)
※ただし1月8日(月)は開館

北斎とジャポニスム公式サイト: http://hokusai-japonisme.jp


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