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2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(8ページ目)

現代のベストセラー作家の作品から、不朽の名作まで。小説で季節感を味わい、1年たって気がついたら品格も育っている(といいなー)という欲ばりな読書計画です!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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8月 避暑地の思い出

画像(C)新潮社
<DATA>タイトル:『猫と庄造と二人のおんな』出版社:新潮社著者:谷崎潤一郎価格:340円(税込)
芥川龍之介が谷崎潤一郎の作品における「話の筋」の芸術性に疑問を投げかけたのが論争の始まりだった。結局は両者自説を譲らず。芥川は死んでしまう。

福子さんどうぞゆるして下さいこの手紙雪ちゃんの名借りましたけどほんとうは雪ちゃんではありません、そう云うたら無論貴女は私が誰かお分かりになったでしょうね、いえいえ貴女はこの手紙の封切って開けたしゅん間「さてはあの女か」ともうちゃんとお気がつきになるでしょう、

引用部分のあともまだまだ続く。冒頭の一文がなんと9行もあるのだが、流れるような語り口が病みつきになる『猫と庄造と二人のおんな』。猫を溺愛する男と2人の女の奇妙な三角関係を描く。庄造の愛猫・リリーは鼈甲(べっこう)のような毛色のきれいな猫。仕草も可愛い。

リリーを前の妻に譲って、庄造夫妻は紅葉を見に有馬温泉へ行く。恋人時代に来たときは夏で、楽しかったことを思い出す。谷崎にとっても有馬での避暑は記憶に残るものだったようだ(※参照サイト)。

<DATA>
タイトル:『猫と庄造と二人のおんな』
出版社:新潮社
著者:谷崎潤一郎
価格:340円(税込)

谷崎が最初の妻・千代を譲った作家は? 答えは次のページに。

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