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2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(7ページ目)

現代のベストセラー作家の作品から、不朽の名作まで。小説で季節感を味わい、1年たって気がついたら品格も育っている(といいなー)という欲ばりな読書計画です!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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7月 河童の国に迷いこむ夏

画像(C)筑摩書房
<DATA>タイトル:『ちくま日本文学002 芥川龍之介』出版社:筑摩書房著者:芥川龍之介:924円(税込)
中勘助は幼いころは病弱だったが長生きした。同じ漱石門下で短編の名手として知られる芥川龍之介は、36歳で自ら死を選んだ。1927年7月24日のことだった。中勘助とは違う意味で、砂漠で孵(かえ)った河童のような人だったのかもしれない。

晩年の代表作「河童」はある精神病院の入院患者がだれにでもしゃべる話という設定で書かれている。夏の穂高山で霧に巻かれ、河童の国に迷いこんだ「僕」。そこには銀座通りと変わらない街並みがあり、河童は服こそ着ていないものの、人間に似た生活を送っていた。

人間が真面目に思うものをおかしがり、人間がおかしがることを真面目に思う。出産の直前に、赤ん坊に生まれたいかどうかを訊く。河童の文化はユーモラスだが、死の影が濃厚に感じられる一編。

<DATA>
タイトル:『ちくま日本文学002 芥川龍之介』
出版社:筑摩書房
著者:芥川龍之介
価格:924円(税込)

芥川が亡くなる直前まで歴史に残る文学論争を繰り広げた作家は? 答えは次のページに。

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