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2008年、品格を読書で育てる12ヶ月(6ページ目)

現代のベストセラー作家の作品から、不朽の名作まで。小説で季節感を味わい、1年たって気がついたら品格も育っている(といいなー)という欲ばりな読書計画です!

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

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6月 子ども時代の宝物がよみがえる

画像(C)岩波書店
<DATA>タイトル:『銀の匙』出版社:岩波書店著者:中勘助価格:525円(税込)
漱石の弟子の中でもあまり目立たなかったという中勘助だが、写真を見ると(※参照サイト)端正な顔立ちに驚く。女性作家にもモテモテだった模様。そんな彼の自伝的小説が『銀の匙』だ。

赤ん坊のころから虚弱体質で人みしり。伯母さんの背中にかじりつかないと、外に出られない。自分のような者が火事やけんかや酔っ払いや泥棒が絶えない神田の真ん中で生まれたのは河童が砂漠で孵(かえ)ったよりも不都合なことであったという。

引っ込み思案な分、観察力は鋭く、何気ない日常のディテールが細やかに綴られている。読んでいてうれしくなるのは、駄菓子やおもちゃ、お祭りなど、子どもの好きなものが出てくるところ。

じめじめした天気にいらだった気分を、子ども時代の宝物のように懐かしい輝きのある文章がやわらげてくれる。

<DATA>
タイトル:『銀の匙』
出版社:岩波書店
著者:中勘助
価格:525円(税込)

中勘助と同じく漱石門下生で、「河童」という短編を書いた作家は? 答えは次のページに。

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