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アーティスト・インタヴュー~Part 31 OVERROCKETの軌跡(4ページ目)

セルフタイトルの新作『OVERROCKET』を10月6日にドロップしたばかりのOVERROCKETの3人(鈴木光人さん、渡部高士さん、本田みちよさん)にインタヴュー! デビューから現在に至るユニットの活動を追跡。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

新作『OVERROCKET』

――では、10月6日にドロップされるニュー・アルバム『OVERROCKET』についてお伺いします。通常、デビュー・アルバム以外でバンドやユニット名がアルバム・タイトルになるのは、かなりの思い入れがあるケースが多いのですが、やはりOVERROCKETの今後の指針としての意気込みなのでしょうか?

『OVERROCKET』
01. The wheel is clamped
02. Eerie silence
03. What's all this about ...
04. Descriptions
05. Fake note
06. Woods, river and alcohol
07. Tristes tropiques (悲しき熱帯)
08. Ongaku shoji
09. Believe me, I'm sportsman
10. Sapphire night (サファイヤの夜)


【鈴木】最初にタカシがタイトルを提案した時にすんなり一致で決まりましたので、次作は『OVERROCKET』にしようというのは三人の中にあったようです。(いつもタイトルは時間かかるんですけど)まぁ、バンドなりユニットなりで一度限り使えるタイトルですからね(笑)。ジャケットも凄く好きです。

【渡部】今回のアルバムは、そもそもいちばん最初にやってたように、簡単な機械だけ並べておいて、その場のインスピレーションで曲を作っていこう、と決めてました。こういうやりかたが元になってこのバンドになったので、いちおう、原点回帰、ということでこのタイトルでいいんじゃないかと。こう言えばかっこいいですが、ようするに機材をいじくって遊んでるのを、録音してるだけですから、意気込み、という意味は無いです。バンド始めたころは、こういうジャムった記録のようなテープをどうやったらまとめたらいいのか、さっぱり分からなかったのが、でもいまなら出来るから、スタジオで曲が出来上がる瞬間に聞いていた曲の良いところを、そのまま形にしようと思ってやってました。

朝から始めて昼ごはんをゆっくり食べて、光人は、マイお猪口を持ち込んで、昼間からちびちびやって、夕方までに録音して残業せずに終わってました。(七尾)旅人もそんな雰囲気の日になんかの用事でやってきて、本人はなにをいじってるのかさっぱり理解しないまま昼飯食べて2曲分ジャムって帰って行きました(笑)。

――印象としては、YMOにおける、『Solid State Survior』、『増殖』を出した後の『BGM』(個人的には凄く好きなアルバムです)のような気がしました。前の二つのアルバムがとてもキャッチーなポップ路線であっただけに、今回は内省的であるが本質的であるOVERROCKET的エレクトロ美学の追求というとあまりにも文芸的ですが・・・ 新機軸OVERROCKETという考え方、それとももう一つのOVERROCKETという部分を作りたかったのでしょうか?

【渡部】結局、飽きてましたし、その、「ポップ路線」っていう考えかたはしなかった、っていうことです。当然、かなり薄味に感じるでしょうね。作ってるときに自分たちが良い、と思ってるポイントと、聞き手に優しいことってのは、両立させるのが難しくって、今回は前者を優先させてました。それと、『PreEcho』と『Pop Music』と『Post Production』は僕の気持ち的には3つ組になってます。今回のアルバムは、完全に新機軸、というわけでもありませんが、これら3つとは直接の関係はなくなっています。OVERROCKET自体を1つの曲としてとらえたら、今は2回目のVERSEです。長いスパンでみれば、こういうのがあってもいいかと思います。

――今回は特に音処理が染み込むような感じで美しいですね。でも意外と仕上げるのは早かったのですね?

【渡部】音処理、ということに関しては、 まったく時間を使ってませんね(笑)。もちろん、作る過程で音も一緒にできあがりますから、いろんなこと試したり、たまたま出たものを温存したりして、ちゃんと作ってはいますが、録音した後にはあまりいじくってません。どのトラックもほとんど録音したまんまです。大半の曲はジャムって、録音して、無駄を省いて、塩振って終わり、でした。一般的に、時間かけると音自体の最初の味が薄れてダメになっていくんで、そういう意味でも、最初の状態をきれいに記録しよう、と思ってました。

――レーベル・メイトでもある戸田誠司さん(インタヴューさせてもらいました)のアルバム『There She Goes』(2004年)に、3人とも参加されていますが、何か面白い発見、エピソードなどあれば、教えてださい。Shi-Shonen、フェアチャイルド時代の戸田さんを聴かれていた事などはあったのでしょうか?

【鈴木】制作速度が半端じゃなく速いです。僕も大概速いですが比にはなりません。魔法をかけるのが半端じゃなく凄いです。僕も魔法を覚えましたが比にはなりません。

【渡部】魔法って言うか、どのくらいまで端折っても、リスナーにばれないか、っていうところの見極めがすごいと思います(笑)。

【鈴木】一番最初に買ったシングルCD(8cm)は『おまかせピタゴラス』でした。いつもお世話になっております。
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