それでももちろん、たまらない気持ちが押し寄せてきます。二年前の合格発表の喜びの瞬間からのね。
なぜか楽しい出来事よりも、辛かった予科時代の思い出の方を強く感じます。そして、それをいっしょに乗り越えた同期生との友情。
「仰げば尊し」より「校歌」で涙が込み上げてくるのも、そのせいでしょう。
音楽学校の卒業式と、普通の学校の卒業式の大きな違い。私が思うにそれは——卒業生よりも、在校生=
予科生の方が激しく泣いている! これは毎年そうでしょうね。
不思議ですね……。一年間、いっぱいいっぱい怒られて。その本科生が卒業する。やったぁ~! 晴れて私たちの天下だぁ~! そう思えば、あんなに泣けるわけないのにね。
じゃあ、予科生たちの涙、あれは……うれし涙? ところがそうでもないんですね。
宝塚の生徒としての規律や礼儀作法を教えてくれたのは、学校の先生方より一年上の本科生。それは本当に厳しく、時には矛盾を感じることもあったけれど、何もわからず入学した自分たちを“宝塚の生徒”に鍛え上げてくれたことに対しての感謝の思いがあるのです。
おまけに、昨日まで怖かった(?)本科生たちが、スミレのブーケを手渡す時などに、優しく笑顔で「頑張ってね…」「劇団で待っているからね…」なんて声をかけてくれるもんだから、余計涙が溢れてくるのです。
本科生たちに厳しく指導された予科時代がなかったら……? おそらく同期生の温かさや大切さを、これほどまでに感じることもなかったでしょう。
本科生たちは、礼儀作法や規律を指導する中で、同期生との愛情も教えてくれているのです。
さてさて——89期生49名。4月4日からの月組公演『花の宝塚風土記(ふどき)』—春の踊り—と『シニョール ドン・ファン』にて、初舞台を踏みます。
タカラジェンヌ一年生の彼女たちを、応援してあげて下さいませ! 皆様どうぞよろしく!
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