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22時33分、船越英一郎は犯人の告白を聞く(3ページ目)

全盛期は過ぎたものの未だに根強い人気の2時間サスペンス、そのヒットの秘訣はハリウッド映画と同じ公式が。8月中に放送された全作品から実例で解説します。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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疑惑の人物が死んで混迷

先の「疑惑の人物が登場」では「疑惑の人物」について明確な定義をしませんでしたが、「疑惑の人物」以外にも容疑者は登場します。
しかしその他の容疑者と「疑惑の人物」にはほとんどの場合、明確な違いがあります。その後に、殺されるか自殺するか(またはそれぞれの未遂か)するのが「疑惑の人物」、そうでなければ単なる容疑者です。
殺されれば「犯人じゃなかったのか」とさらに事件を混迷させ、自殺なら「やっぱりあいつが」と主人公以外は事件は終わりだと思わせる役割を果たします。
疑惑の人物が死ぬ(死にそうになる)平均時刻は22時03分。22時になって他の番組にチャンネルが変わるのをふせぐ役割も果たしています。

疑惑の人物が唯一死ななかった(死にそうにならなかった)のは『神谷純子のふるさと事件簿2』のみ。その代わりに22時03分に任意同行で警察に引っ張られて、「犯人じゃなかった」ということを示しています。


トリックを見破り犯人を特定

このフェーズは細かくは「メイントリック解明」(密室とかアリバイとか)、「重要証拠を発見」、「真犯人判明」に分かれます。平均発生時刻はそれぞれ22時10分、16分、20分。
いままでの混沌とした雰囲気を破って流れるように進み、いよいよクライマックスの「告白タイム」になだれ込みます


犯人を追いつめて告白タイム

主人公が犯人を追いつめる平均時刻が22時30分。「真犯人判明」の22時20分から10分とちょっと離れていますが、トリックの解説に時間がかかるのとCMが入る分です。そして「告白タイム」は22時33分から。告白タイムは平均9分間続きます。

この告白タイム、犯人にいいわけさせるのが目的ではなく、この2時間に何が起こっていたのかをすべて解明するところがポイント。ここで語り損なったことがあると見ている方は「あれはどうなったんだ?」と寝られなくなります。

ヤセの断崖
これがヤセの断崖だ
そして告白する場所の定番といえば岬の突端などの海沿いの崖。逮捕して取調室で供述させればいいものをなぜ逃げたり飛び降りたりしかねない崖で告白させるのか?崖っぷちで追いつめられることでサスペンス感が増し、また風光明媚さで犯行の陰惨さを少しでも消すのが目的です。

このパターンを生んだのは松本清張『ゼロの焦点』の映画版、能登半島・ヤセの断崖での告白。原作でもラストは崖で終わっていますがあんなに長々とした告白ではなかった。『七人の侍』など黒沢組の名脚本家・橋本忍の脚色があまりにすばらしかったため普及したのでした。

今回の見た中でも告白シーンは橋の上、庭園、屋上など高くて見晴らしのいい場が中心。
そうじゃないもの、例えば『刑事吉永誠一 涙の事件簿4』は夜、陶芸家の仕事場で告白が行われますが、それは犯人が証拠隠滅にくるのを決定的な証拠としたため。
「崖」でない場合はそれなりの理由があります。



時間割が決まってるのは2時間サスペンスだけじゃない

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