男の靴・スニーカー/カジュアルシューズ

大技小技が冴える、マークブラドックの靴(3ページ目)

名シュープロデューサー・長嶋正樹氏が手掛けるマークブラドックの靴は、「使われ方」を知り尽くしているからこそ発揮できる、あっと驚く工夫のオンパレードです。その最新作をたっぷりご覧いただきます!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

こんなに楽に曲がっていいの?

ブラインドフルブローグ
「ダグマークソン」レーベルの内羽根式ブラインドフルブローグです。一見どこにでもありそうな、全く普通のビジネスシューズなのですが…… 革新的な底付けのお陰で、他には見られない素晴らしい性能を発揮します。


「ダグマークソン」レーベルは、何もカジュアル系の紳士靴ばかり展開しているのではありません。ビジネスシューズにだって当然、力が入っております。上の写真はその中の一足、品のある顔立ちゆえ使える場面や似合う世代が多岐に渡る内羽根式ブラインドフルブローグです。

この靴は長嶋氏が特許を持つ「プラットグッドイヤー製法」という底付け方法で作られています。一言で申せば、コンフォート系の靴で広く採用されている「カリフォルニアプラット製法」と皆さんお馴染みの「グッドイヤーウェルテッド製法」との優れた面同士を掛け合わせたもの。靴にいわゆる「中底=インソール」が取り付けられない代わりに「中敷き=ソックシート」がそれを兼任し、その両端とアッパー並びにライニングの両端それに細革(ウェルト)とがまず掬い縫いされ、さらに細革とアウトソールが出し縫いされる、大変凝った製法です。特に掬い縫いはまるで足袋を縫うように、ミシンではなく人手で丁寧に立体縫製されます。

これが意味するのは、通常のグッドイヤーウェルテッド製法では必ず付く比較的厚い中底とその下の「リブテープ」が存在しないため、底面がいとも簡単に屈曲してしまう、つまり軽くて極めてカエリの良い靴ができてしまうということです。下の写真はこの靴の別モデルを壁に軽くあててみたものですが、見事なまでにグニャッと曲がってしまうのがお解かりいただけるでしょう。この特性を十二分に生かすべく、アウトソールと中敷き(兼中底)との間には、グッドイヤーウェルテッド式のようにコルクではなく一種のクッション材を入れ、足への感触を一層柔らかくすることに努めました。またアウトソール自体も敢えてレザーとせず、EVAとポリウレタンそれにラバーの合成品で曲げ特性に優れた”EPR”を用いているので、たとえ雨天でもこの履き心地を躊躇なく堪能できますよ。

我が国も例外ではない少子高齢化の急速な進展や、生活様式の変化に伴う若年層の脚力低下など、背景には相当深刻な問題があるのですが、「底が曲がりやすく、カエリの良い靴」は、今後メンズドレスシューズ全体の大トレンドになることは確実です。「カリフォルニアプラット製法」的な要素が絡むと、縫い位置の関係でどうしても底面がボッテッとしたシルエットになりがちですが、この靴は木型と仕上げを工夫することでその問題もクリア。コンフォート系紳士靴の快適さには惹かれるけれど、あのなんとも野暮ったいデザインがどうもねぇ…… とおっしゃる方、この靴ならば大丈夫ですよね!

【Doug Markson/内羽根式ブラインドフルブローグ】
■色・素材 : 黒、それ以外にはこげ茶(全てスムースレザー)
■サイズ : 6 1/2~9 0.5サイズ刻み
■価格 : \33,600(税込み)
■販売店舗 : 大丸(東京店・札幌店・梅田店・神戸店・博多店)、梅田阪急

曲がる!
プラットグッドイヤー製法を採用すると、大した力を掛けずとも、靴がこんなに屈曲します。これだけ曲がれば、膝や腰に負担を掛けずに快適な歩行が可能になるはずです。


プラットグッドイヤー
もう一枚オマケ! アッパーとライニングの縁に、中敷き兼中底を縫い付けた状態です。この「縁」が、グッドイヤーウェルテッド製法で言う「リブテープ」の代わりを果たしているわけです。



最後のページを飾るのは、やはり落ち着いたフォルムのこの一足でしょう!
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