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来年発売予定のRX-8プロトタイプに先行試乗! マツダRX-8に乗った!<前編>(3ページ目)

広島は三次にあるマツダのテストコースで、来年発売予定のマツダRX-8のプロトタイプに試乗するチャンスを得た。久々に復活するNAロータリーエンジンのフィーリングをレポートする。

執筆者:河口 まなぶ

確かに加速感自体はS2000ほどではないのだろう。しかし体感は例の未知なるエンジンフィーリングが影響しており、加速する感じそのものがレシプロを搭載するスポーツカーとは、質として違うのだ。何か非常に効率的で、滑らかさを伴って前へ進んでいく。もちろん、遅いという印象は微塵もなく、むしろするすると高まっていくその加速は未知なる速さを感じさせたともいえる。

レネシスに対しての驚きはまだある。私が一番驚いたのはその静粛性の高さである。長いストレートで、高速巡航を模して走行してみる。6速で120km/h、この時の回転数は3800回転。ホンダS2000がこれに近く、あちらは6速120km/hで4000回転。以前私はS2000を所有していたので、実際に高速巡航の時には、この回転数とそれに伴う音が相当気になっていた。

しかしRX-8はどうだろうか、なんととても200回転差とは思えぬ静けさを持っているのである。直4での回転数と、ロータリーの回転数は、例え同じ数字を指しても、全く違うものだったのである。最初にこのエンジンから感じた滑らかさや洗練さがそのまま効いている感じで、レシプロで回転が高まるにつれて感じるような振動が微塵もない。RX-8の6速120km/h巡航は、レシプロ4気筒でいえば2000-2500回転くらいの感じ、いやもう少し下にさえ感じるほど。

こんな具合だからRX-8では、ついつい低いギアのまま走っていることがある。そう、あまりに滑らか静かで、かつ9000回転まで幅があるため、かなり高い回転になるまでギアが低いことに気が付かないのだ。

いや静粛性が高いと書くと誤解を受けそうなので、もう少し説明を加えておこう。サウンドそのものはしっかりとスポーツカーらしい、ロータリーらしい感じが存分にある。その意味では静かというより、相当に滑らかなので不快な音が少ないというのが正しいかもしれない。

しかし何より強く感じたのは、RX-8においての主役はこのレネシスであることに間違いない、ということである。

まずエンジンから伝わる感触そのものが、マツダにしかできない唯一のものであり、これが確実に個性や魅力、そして「味」というものを創出している。

さらにこれをクルマに搭載するとき、レシプロに対して有利な部分が多いことを最大限活用している。RX-8はレネシスを、RX-7に比べ60mm後方に、高さ方向にも40mm下方に置く。さらに言えばエンジンとドライバーの距離も縮め、トランスミッションと一直線にレイアウトするなど、マツダが言うアドバンスドフロントミッドシップを実現した最大の要素ともなっている。つまりレネシスは、その優れたパッケージングの源として、さらにそこから生まれるシャシーやボディを考える上での、間違いなくRX-8のコアなのである。

もちろん他のクルマでもエンジンが成り立ちに影響しているものもあるわけだが、RX-8ほど、それを強く感じるクルマというのもなかなかない。

そんなレネシスを核とした成り立ちを持つRX-8が生み出す走りは……残念ながら今回はここまでということで、続きまた後ほど掲載する『RX-8その2』で詳しく書き連ねていこうと思う。

<後編はコチラから>
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