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新型に生まれ変わったらタイプRはどう進化したのか? 新旧インテグラタイプR比較(2ページ目)

2001年に新型に生まれ変わったインテグラタイプR。シビックに代わりホンダのワンメイクレースに採用されるなど、ホンダFFスポーツの頂点に立つ、インテグラタイプRの魅力に迫る。

執筆者:河口 まなぶ

事実全長/ホイールベースがほとんど変わらないにも関わらず、乗員配置は大きく変わった。旧型比で、新型はヒップポイントが40mmもアップしているのだ。ただし、ヒップポイントが高くなったことによる弊害は感じられない。ヒップポイントが高まると、まるでミニバンに乗っている感じさえ受ける場合があるが、新型ではウエストラインを高く設定したことや、ダッシュボードの位置が最適化されたことで、むしろ以前と変わらぬポジションにいると感じられ、同時に以前よりも包まれるような安心感が格段に増している。

スタイリングは走りにあまり関係のない部分のようにも思えるが、実はかなり重要だ。特に高速域において、ドライバーが感じるストレスは格段に減少した。つまりストレスを感じさせない=よりドライビングに集中できる空間が築かれた。

インテリアの質感にはかなり時代の差を感じる。ダッシュボードの質は明らかに1ランク以上で、室内全体にカチッとした感覚が漂う。旧型におけるスパルタンな雰囲気も捨てがたいが、新型の洗練度には頭が下がる。ここでもやはりデザイン的な好き嫌いが分かれそうだが、製品として評価した場合には雲泥の差があるのは事実だ。その意味で内外装の印象をまとめると、旧型は情感を重視したもので、新型はあくまで機能性を重視したものともいえる。つまり新型はスタイリングにも、走りの機能が盛り込まれたクルマだ。

しかし多くの人が気になるのは、むしろ見た目よりも走りそのものにおける違いだろう。

キーを捻った時点で既に両車の違いは分かる。エンジン始動時に伝わる振動が、新型では圧倒的に少ない。この時点で既にボディ剛性の高まりを意識させられるのだ。アイドリング時の印象もしかり。振動はもちろん、騒音もかなり抑えられたものとなった。

走り出してスグに感じるのは、クルマ全体から伝わるフリクションの少なさだ。先代ではタイヤのひと転がりでドライブシャフトなどの回転感にザラつきを感じ、同時にエンジン振動も手の平に伝わるが、新型にはそれがなく、滑らかにタイヤが転がり始める。部品レベルでの精度の違いがそこにあるようにすら感じるほどである。

新たに搭載されたK20A型、通称i-VTECはさすが現代のエンジンと思わせるだけのものを持っている。旧型に搭載されていたB18Cに比べてユニット自体の洗練度が違う。確かに全ての情報をダイレクトに伝え、鼓動を存分に感じさせたB18Cにも魅力は多いが、K20Aは気持ちよい部分だけを伝え不快な部分は効果的にカットした感じがある。それは回転を上げても同様の印象である。

それだけにB18Cの方が感覚的にはドラマチック。VTECの切り替わりはドライバーにさらなる高揚感を与え、いかにもエンジンが回っていることを全身に伝えてくるような「ライブな」雰囲気がある。
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