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粘度選びはオイル選びの醍醐味(2ページ目)

オイル選びにおいて、銘柄やベースオイルの材質と同様に重要になってくるのが粘度の設定だ。粘度によって、エンジンのフィーリングや燃費性能も影響してくるだけに、粘度選びは慎重に行いたい。

執筆者:宮島 小次郎

エンジンを保護するためには、粘度の高いオイルが効果的

エンジン内部
高温時でもしっかりと油膜を保持するためには、高温側の粘度が高いオイルを選ぶといいだろう
では逆に粘度の高いオイルを使うのはどのような場合でしょうか。粘度の高いオイルというのは、基本的に高温時の油膜保持性能が高いため、油温が上がりやすいクルマ(ターボ車など)や油温が上がりやすい使い方をする人(高回転を多用するサーキット走行など)にはエンジンをダメージから守るため、有効な選択となります。

この場合、例えば10W-40が指定グレードだとすると、10W-50、10W-60というように高温側の粘度を上げるというのが基本になります。低温側は、0Wや5Wが指定の場合は、10Wへ上げるというケースは見られますが、あまり極端に低温粘度を上げていくと、特に冬場などはオイルが温まるまで、エンジンが重く感じられたり、始動性が悪化するなどの問題が出てくることも考えられます。

また、走行距離が伸びてきたクルマやエンジンオイルの消費量が多めのクルマ(特に古めの輸入車など)、設計が古くピストンとシリンダーのクリアランスがもともと広めに設計されているクルマなどでは、少し粘度が高めのオイルを使うことで、オイルの消費量が減らせたり、圧縮圧力の回復によるトルク特性の改善などの効果が見られる場合もあります。ただし、粘度の高いオイルは基本的にエンジンが回る時の抵抗が大きくなるため、エンジンのフィールが重くなったり、燃費の悪化などを招くことがありますので注意が必要です。

さて、以上が粘度を選ぶ際の基本的な考え方となるわけですが、個人的には、距離を走ったクルマ(10万km以上)、設計の古いエンジン、サーキット走行などハードな使い方をする、という場合以外には、なるべく柔らか目のオイルを選ぶのがおススメです。柔らか目のオイルでは、前述のようなエンジンフィールや燃費面での改善効果が得られやすいからです。

その際、ただ柔らかいオイルを選ぶだけでは、オイル本来のエンジン保護機能が十分に発揮されず、エンジン内部にダメージを与えてしまうことも考えられます。そのため、できれば油温計や油圧計によって、オイルの状態に問題が出ないことを確認し、メカノイズなどの変化もチェックすべきですが、なかなかそこまでやることも難しいかと思います。そこで粘度の低いオイルを選ぶ際には、高性能なベースオイルを使用した製品を選ぶことが重要になります。つまり粘度低下によって、油膜が薄くなる分、オイル自体の質の向上によって油膜切れを防ぐという考え方です。

そうなると一般的には、値段の張る製品を選ぶこととなりますから、コストとの兼ね合いも重要になってきますね。そこでコストを重視するのなら、純正と同じ粘度、同等以上のベースオイルを使ったオイルを、性能やフィーリングを重視するのなら、柔らか目の粘度でベースオイルのクオリティが高い製品を選ぶというようにするといいでしょう。


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