車のブレーキパッドには寿命がある
ブレーキは「摩擦」を利用して速度エネルギーを熱エネルギーに変え、その熱を空気中に放出することで減速を行っている。<目次>
交換時期は2~3万km。ブレーキパッドの厚みが5mm以下に注意
その摩耗する部分(ライニング)の摩耗限界はディスクブレーキのブレーキパッドの場合で2mm前後。だが、半分近く(5mm前後)まで減っていたら(新品時の厚みは10mm)交換を検討するべきで、もしも残りが2mm以下だったなら、ただちに交換する必要がある。また、充分残量があったとしても年数が経過したものは硬化してブレーキの効きが低下しているので注意が必要だ。ブレーキパッドを交換する前に注意・確認すべきこと
さて、ディスクブレーキは構造が単順なだけに、多少の整備知識と工具があればパッド交換くらい簡単に行うことができる。 ところが、分解するときは各部の作動チェックを行いつつ組み上げる必要があり、状況によっては本格な修理を伴うこともあるのだ。例えば、市販車では一般的な制動時にキャリパーボティーが左右に移動する「フローティングタイプ」は、スライドピンの動きがしぶいと引きずりを引き起こしてしまう。ピストンが押し出されて(A方向)パッドがディスクローターに当たると、その反力によってボディーが逆方向(B方向)に移動し、反対側のパッドがディスク面に押しつけられる構造になっているからだ。
このため、パッドを交換するときは、シリンダーボディが左右にスムーズに動く状態にあるか確認することが大切!さらに、ピストン端には泥水が進入しないようダストブーツがセットされているが、材質はゴムなため年数が経過すれば確実に劣化。分解時は破損していないか必ずチェックする必要がある。プロの作業を見ているとなにげなくバラしているように見えるが、分解しながらそのようなポイントをチェックしているのだ。
また、リヤディスクには「パーキングブレーキ機構」も組み込まれており、コンパクトカークラスだと油圧ピストンを機械的に押し出す構造を採用している車種もある。その場合、分解方法はフロントとは異なってくる。ドラムブレーキはライニングの残量確認にもドラムの脱着が必須で、機械的に作動する「自動調整機構」が組み込まれているため内部構造は複雑。分解するためには特殊工具も必要となる。このため、ブレーキシュー交換はおろかライニングの残量チェックさえも素人には荷が重いのだ。
ディスクブレーキのパッドの残量確認までは簡単かつ交換時期を推測する唯一の手段となるため自分自信で定期的にチェックするべきだが、それ以上の作業は素直にプロに依頼。これが無難であり安全だ。
ブレーキパッドの交換手順1、リフトアップしてタイヤを取り外す
ブレーキパッドの交換手順2、キャリパーボディーを取り外す
ブレーキパッドの交換手順3、ブレーキパッドを取り外す
ブレーキパッドの交換手順4、ブレーキパッド摩耗具合をチェック(5mm以下は手順5へ)
ブレーキパッドの厚みは新品時、約10mm。摩耗限界は2mm前後だが、半分を切っていたら交換しておいた方がよい。なお、ブレーキパッドは何km走行したら限界まで摩耗するとは一概にいえない。ドライバーによってブレーキの使用頻度はまちまち。使用しているパッドの材質によっても違ってくるからだ。このため、社外品なら1万~2万km、純正品なら3万~4万km走行を目安に残量をチェックしたい。ブレーキパッドの交換手順5、新しいブレーキパッドをセットする
ブレーキパッドの裏側にパッドシムを組み付け、両端の凸部を横からスライドさせるようにしてリテーナーの凹部にはめ込み、奥までキッチリ押し込んでやる。
ブレーキパッドの交換手順6、ピストンを押し戻し、組み上げる
パッドの摩耗に応じて飛び出したピストンをピストンツールで押し戻す。そして、面一まで押し込んだところで、パッドシムがズレないよシリンダーボディをはめ込み、スライディングピンボルトをセットして規定トルクで締め込んでやる。【関連記事】