カーメンテナンス/車の点検ポイント

異音が聞こえたときはただちにチェックしたい 駆動ベルトの交換

エンジンが回り続けるのを補助したり快適に走らせるための装備類の駆動力は、エンジンの回転力をベルトで伝達することで得ている。そのベルトにも当然、寿命があり、定期的な交換が必須となるのだ。

執筆者:鈴木 伸一

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 エンジンは単独で回り続けることはできない。連続して回すためには、「クーリングファン」、「オルタネーター(発電機)」、「ウォーターポンプ」といった補機類の力を借りる必要があるのだ。
 そこで、エンジンの回転力をベルトによって伝達することで、様々な補機類(パワーステアリングの「オイルポンプ」やエアコンの心臓部である「コンプレッサー」もベルトで駆動されている)を動かしている。このため、駆動ベルトに何か問題が生じると複数のトラブルが同時に発生してしまう。オーバーヒートと同時に充電不良を起こし、バッテリー上がりをひき起こすといった具合にだ。
 さて、この駆動ベルトには駆動力をスリップすることなく伝達させるために、常に一定のテンション(引っ張る力)がかけられている。ところが、使用していると伸びて張りが緩み、スリップすることで伝達力が弱まってくる。経年劣化によって弾力が失われたときも、スリップしやすくなる。
 そのようなトラブルを未然に防止するために、定期的な点検・交換を欠かすことができないのだ。ゴムを主体としている「ベルト」は年数が経過すれば確実に劣化するからで、もしも張りが緩んでいたときは、ただちに張り直す必要がある。そして、張りがOKでもベルト自体が劣化していたなら、なるべく早く交換したい。特に注意したいのが、ベルト裏面のプーリーとの接触面。表面に細かなヒビ割れがあったり多少でもほつれていたなら、ただちに交換するべきだ。出先で切れるようなことがあれば走行不能となってしまうからだ。
 また、駆動ベルトには断面がV形状の「Vベルト」とV型リブを複数設けた「Vリブドベルト」の2タイプがある。近年は伝達高率に優れる後者が主流となっているが、前者が使われているクルマもまだ現役で走っている。この「Vベルト」、緩みを生じやすくこまめなメンテナンスが必要となるので要注意だ。
 「Vリブドベルト」といえども安心は禁物!4~5万kmは楽に無交換で走ることができるものの、これ以上の距離を走ると急速に劣化してくるからで、耐久性とは別の意味での寿命が短くなってきてもいる。張りがかなり強く、使われる環境もより厳しなっているにもかかわらず、ほとんどのユーザーが手つかずで乗っているからだ。もしも心当たりがあって、少しでも長く乗る気でいたなら、十分注意したい。
 なお、ベルトが劣化したり張りが緩むと、始動時や加速時に「キュルキュル~」といった異音が発生するようになる。これは「ベルト鳴き」と呼ばれる現象で、もしもこの手の異音が聞こえたときはただちにベルトのチェックを行ないたい。放っておけば駆動力の低下による不調や「ベルト切れ」の原因となるからだ。
●駆動ベルトの交換
1.駆動ベルトは複数セットされている
補機類を駆動しているベルトはエンジンの前方端にセットされている。通常、2~3本セットされており、交換時期の目安は4~5万kmもしくは3~4年。全ての駆動ベルトを同時に交換するのが原則だ。なお、交換作業自体はそれほど難しくはないが、張り過ぎは駆動抵抗となるばかりかベアリングの損傷を誘発し、緩ければスリップしまう。また、Vリブドベルトは厳密には専用器具で一定のテンションをかけた状態で張りチェックする必要があり、経験がないとトラブルを招くことになる。このため、交換や調整は素直にプロに依頼した方がよいだろう。
2.アジャスターを緩めて取り外す
補機の固定ボルトを軽く、アジャストボルトを目一杯緩めてやる。そして、ベルトを握って引き上げることで張りを緩め、ベルト自体を空回りさせるようにしてプーリーから抜き出す。
3.劣化症状は裏面に現れる
表から見える面は正常でも、裏返してみるとヒビ割れてボロボロ。こんなことがよくある。もしもこんな状態になっていたら、いつ切れてもおかしくない。完全に寿命だ。
4.ベルトをセットして張りを調整する
新品のベルトは奥のプーリー溝にセットされていたベルトから順にセットしていく。駆動側のプーリーに引っかけ、プーリー溝に添わせて回すような感じにはめ込んでいき、全てのベルトを組み替えたところで張りを調整して終了だ。

更新日:2004年10月30日

あわせて読みたい

    この記事を読んで良かったですか?

    良かった

    9

    この記事を共有する