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平成15年税制改正第2弾 相続時精算課税制度の概要(2ページ目)

みなさんの気になる平成15年税制改正。そのなかでも最大の目玉は相続時精算課税制度です。制度の活用の有利?不利?を検討する前に制度のおさらいをしておきましょう。

田中 卓也

執筆者:田中 卓也

税金ガイド

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仮にこのご主人の財産が現在7000万円であるなら、計算例は以下のようになります。

まず、お子様が事業を起こしその当面の資金がほしいということで2500万円贈与したとします。財産をもらった側が2500万円まで、贈与時には非課税ですからこの時点では税金がかかりません。

さらに、事業拡張の資金としてもう1000万円ほどおねだりをしてきたとします。この場合には合計で3500万円となり、2500万円のワクを超えてしまっていますから超えた1000万円の部分に関しましては一律20%の税金がかかる仕組みになっております。
この場合ですと贈与税200万円となりますね。

結果的にこの時点では税金200万円を差し引き、3300万円資金の移動ができたことにはなります。

では、この状態で相続をむかえた場合にはどうなるのでしょうか?
お子様への贈与財産はすでに3500万円で確定しておりますので、残った財産の相続税評価額にこの3500万円がプラスされます。
財産の増減がそれほどなければ残った財産の価額も3500万円であり、相続時の財産評価額は7000万円となります。

これを相続税の算式に当てはめるとどうなるのかというと、結論として相続税はかかりません。

なぜかって?

相続税には基礎控除というものがあって、5000万円プラス法定相続人(法律が定めた財産を受け取るべき人のこと、必ずしもこのとおりである必要はありません)の数×1000万円というものがあって、この質問事例でいうと7000万円となります。

そこで、正味財産7000万円から基礎控除7000万円というものが控除できるため、結論として相続税はかからないのです。

「では、2回目に支払った贈与税は払い損?」そんな声も聞こえてきそうです。そんなことはありません。

相続時精算課税制度ですから、相続時に精算されます。
この質問事例の場合には還付されますので、ご心配なく。


最後にひとつだけ注意点があります。
実はこの制度、65歳以上の親から20歳以上の子供への財産移転が対象になっております。したがって、質問事例のように夫婦間での生活資金の移動の場合には対象外となります。

ご注意ください。
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