ゲーム業界ニュース/ゲームとビジネスニュース

Xbox360 新モデル発表とその戦略(3ページ目)

2007年3月28日、マイクロソフトはXbox360の新型モデル、Xbox360エリートを発表しました。その内容をご紹介すると共に、この発表からうかがい知れるXbox360の戦略について考えます。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド


PS3の優位に立ち、Wiiと差別化するXbox360の戦略

エリートVSPS3&Wiiの図
北米では着々とWiiやPS3と差別化していく戦略が進められていると言えるでしょう
エリートという新モデルは、非常に戦略的に考えられた流れの中で登場したように見えます。Xbox360はPS3やWiiの1年前に発売して北米で着実にユーザーを獲得、XboxLiveにおいてオンラインでユーザーがコンテンツをダウンロードする為の環境を整え、2006年秋には周辺機器として次世代DVDのHD-DVDが発売しました。

同じ頃、映画やテレビの配信も開始、そして2007年4月に大容量HDDやHDMI端子を搭載したエリートが発売されるわけです。多角的に、そして周到に質の高い映像エンターテイメントを提供する為の準備を行っているという印象です。

PS3と比べ、機能的にはHDDこそ60GBに対し120GBと勝るものの、PS3が次世代DVDのBlu-rayDiscを標準搭載している分大差ある印象はありません。映像配信は現時点でもPS3だって機能的には可能です。しかし、サービスの仕組みや、そのサービスを使うユーザーを着実に獲得してきた全体の戦略の流れでは、Xbox360がかなり優位に立っている状況があるのではないでしょうか。

【関連記事】
HD-DVDやBlu-rayDiscなどの次世代DVDについて知りたい方はこちら
次世代DVD戦争の解説書・初級編(AllAboutゲーム業界ニュース)

PS3はPlaystationHomeという映像配信も含むオンライン上の包括的なサービスを発表していますが、これは2007年4月にβテストを開始し、秋に本格的なサービス開始という状況ですから、タイミング的には大分遅れを取る格好となりました。

また、この高価格、高品質のサービス展開から、Wiiと明確な差別化をする姿勢を見て取ることができます。Wiiは2007年4月中にインターネットチャンネルの正式版を配信する予定しています。他にもお天気やニュースなど、無料で簡単に楽しめるサービスを充実させています。一方、これだけオンラインのサービスが充実しているXbox360に、まだインターネットを閲覧する為のWebブラウザがありません。これは、Xbox360のオンラインサービス展開における優先順位を示しています。

エリートを発表することによって、低価格でお手軽なサービスを展開するWiiに対し、高価格で高品質のエンターテイメントを提供するというXbox360の方向性をより明確に打ち出した形になったのです。

【関連記事】
各社のオンラインサービス展開について知りたい方はこちら
オンラインはゲームビジネスを変えるか(AllAboutゲーム業界ニュース)
Wii Connect 24の可能性(AllAboutゲーム業界ニュース)
Wi-Fiコネクションってなあに?(AllAboutゲーム業界ニュース)

実に周到にマルチメディア映像エンターテイメントを展開しているように見えるXbox360ですが、1つ残念なことがあります。それは、エリートの発売が日本未定であるということです。先ほどご紹介した映画やテレビの配信サービスも日本では行われていませんし、120GBものHDDがあってももてあますユーザーが多いとも思われます。

ニンテンドーDSやWiiで低価格で手軽なゲームが大人気の日本では高価格で高品質という方向自体どこまで受け入れられるかも疑問です。北米を中心に組み立てられたXbox360の戦略をどうローカライズしてくるか、これからの動きに注目したいと思います。

【関連記事】
何故Xbox360は売れないのか?(AllAboutゲーム業界ニュース)
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気のゲームソフトを見るAmazon で人気のゲームソフトを見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます