社会ニュース/よくわかる政治

地方分権、三位一体改革とは?

構造改革の中でもちょっとわかりにくいということであまり報道量の少ない三位一体改革。しかしこれが実現すると、日本の政治の形が変わりそうです。しかしなかなか改革は進まない。そのあたり解説します。

執筆者:辻 雅之

「三位一体改革の基礎知識2008」がアップされています。こちらもあわせてお読みいただけると現状がよくわかると思います。(2007.12.06追記)

1ページ目 【「三位一体改革」なにを一体的に改革するの】
2ページ目 【「国庫支出金」「地方交付税」ってなに?】
3ページ目 【改革がうまく行けば国の政治のありかたも変わる?】

【「三位一体改革」なにを一体的に改革するの】

こちらも要チェック! 政治についての基本知識と基本用語

三位一体・・・なんの3つが一体なんだ?

三位一体。「さんみ」ですからね。「さんいいったい」とかいうと笑い者になるので要注意。

三位一体とはもともとキリスト教の教義。神・キリスト・聖霊が本質的に一体であるという教えですね。あと、日本の律令制の位階で、正三位と従三位を三位と呼んだりもしてました。以上、トリビア的知識。

で、今、政治で騒がれている三位一体とは、こういうことです。

(1)国庫支出金を減らす。
(2)税源を地方に移譲する。
(3)地方交付税を見直す。
・・・・・これをいっぺんにやって、地方分権をすすめる。


なんだかよくわからない言葉が出てきましたね。ちょっと解説しましょう。

地方自治体の財政は国の援助でもっている

まず、地方自治体はどうやって資金を集めて、行政サービスを行っているのでしょう。

それはまずは地方税です。住民税とか、マンションとかもってる人は固定資産税とか、企業は事業税とか、払ってますよね。当然、これが地方自治体の財源です。

しかし、はっきりいってこれではとても足りません。平均して、必要経費の4割弱しか集まらないのです(ま、自治体によって多少の差はあるのですが)。

そこで、国から主に2つの財源が、地方に与えられています。その1つが国庫支出金です。これは、国が地方自治体に資金の使い道を指定して与えるものです。地方自治体は、国に「うちはこんな事業が必要です、お金をください」といって資金をもらうわけですね。

もう1つは、地方交付税です。これは、地方公共団体の間の格差をなくすため、格差の解消のために与えられるものです。過疎の村など、人口が少ないため税収が少なく、たくさんもらっているところもあれば、東京都のようにもらっていないところもあります。

地方交付税は、国庫支出金とは違い、使い道が指定されていません。

地方交付税のしくみは、ちょっとむずかしいので、細かいところはあとで説明します。

その他、国が徴集した税金を自動的に地方自治体に譲る地方譲与税や、地方債(ようするに借金ですね)で地方財政はまかなわれているわけです。

このしくみの何が問題なのか、なぜ改革が必要なのか、次のページでみてみましょう。

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