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先進国で最悪、イスラエル、ボツアナと同じ格付け 日本国格下げ!日本政府の信用力

アメリカの格付け会社が日本国を格下げしています。ムーディーズの格付けでは、先進国で最悪、イスラエル、ギリシア、ボツアナと同じ!これをどう考えたらよいか、解説します。

執筆者:石川 秀樹


1ページ 【日本国の格付け?
      【国債の格付けとは?
      現在の日本国債の格付けは?

2ページ 【財務省が必死なのは、なぜ?】
      【日本は先進国で最低の格付けでよいのか!!

     
日本国の格付け

日本政府が発行する円建て国内債券(以下、日本国債)の格付けがどんどん下がっています。これに対し、「日本国の実力を反映していない!」とする意見や、「民間の格付け機関が国の格付けを出来るのか?」などの反発も聞かれます。そこで、今回は、日本国債の格付けについて、考えたいと思います。

国債の格付けとは?

「格付け」とは、「専門機関が企業の経営状態を分析し、債務の元利の返済能力を簡単な記号で表示する」ものです。ですから、通常は、民間企業に対して分析を行うのですが、各国の中央政府も債券を発行し資金調達を行うので、格付けの分析対象となっています。そして、この政府に対する格付け「ソブリン格付け」といいます。ちなみに、ソブリン(sovereign)とは、「独立国、主権」という意味です。

一般に、各国政府の支払能力を分析する「ソブリン格付け」は、企業の格付けよりも、以下のような理由で難しいといわれます。

(1) 国の財政状況は、企業ほど財務情報が公開されておらず、実態がつかみにくい。

(2) 企業と違い、国の債務不履行の事例は少ないので、統計処理による格付けを行いにくい。

 企業の場合には、過去のデータより、財務状況と債務不履行の確率を計算し、それを参考に格付けを行うことができます。しかし、政府、特に、日本のような先進国政府が債務不履行を起こした事例は、戦後ありませんから、格付けの根拠となる過去のデータがありません。             

現在の日本国債の格付けは?

2002年5月31日に、米国の格付け会社ムーディーズが、日本国債の格付けを、Aa3から、A2に引き下げました。ムーディーズは、引き下げの前から、日本国債の格下げの予告をしており、これに対し、日本の財務省が意見書を出すという応酬がなされていました。

ここで、2002年5月末時点での、格付け会社による日本国債の格付けを見ておきましょう。表からわかることは、日本の格付け会社は2社ともに、日本国債に最高格付けを与えていますが、米国の2社は、先進国では最低の格付けをしています。

 
格付け会社日本国債の格付け
格付投資情報センター 最高格付け AAA
日本格付研究所最高格付け AAA
ムーディーズ 今年5/31にAa2からA2へ格下げ
S&P* 今年4/15にAAからAA-へ格下げ

*スタンダード アンド プアーズの略称
格付け記号の意味はこちらの記事→格付けってナニ?【格付け記号の意味】

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