年齢によって「効き方」「副作用」が違う!アンケートから紐解くED治療薬最前線

インターネットで見かけるED治療薬に関する情報には、間違ったものもちらほら。1999年バイアグラ承認時の古いデータも多く、「中高年層向け」の偏った内容であることも少なくありません。25年以上の月日が流れた今、ED治療薬は若い人を含める幅広い層に浸透し、知識をアップデートする必要があります。そこでここでは、当院で実施した様々なアンケート結果を元に、現代のリアルなED事情や治療薬の正しい知識をご紹介します。

提供:東和薬品株式会社

お話をうかがった方

竹越 昭彦

ED・勃起不全ガイド:竹越 昭彦

ED治療専門医院として17年で延べ250万人の様々な臨床経験 ED治療専門医院として延べ250万人以上の様々な臨床経験 浜松町第一クリニック院長。2004年に開院し、自身の所属する浜松町院含め首都圏に7医院開院。浜松町院だけでED治療の来院患者実績は現在までに57万人。 患者さんと同じ視点にたって解決策を提案するよう心掛けて治療にあたってきました。

20代にも増えている!「勃起不全」は年齢を問わない

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そもそも「ED」とは、「勃起が十分でないために、満足に性行為が行えない状態」のこと。「全く勃起しない」状態のみならず、「たまに勃起しない」「勃起はするが十分に硬くならない」といった軽度の症状も含みます。

浜松町第一クリニックが、EDの進行具合を6段階に分類し、「過去6カ月以内に性行為の経験がある」全国の20〜79歳の男性1万人を対象に、「性行為の際、ご自身は6段階のうちどの状態ですか?」という調査を実施しています。本記事では、このアンケート結果を参照しつつ、EDに関する状況を紹介します。

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調査の結果、EDとは無縁と思われがちな20~30代でも、3人に1人の割合で軽度以上のEDの悩みを抱えていることが判明。さらに、その年代の6.8人に1人が軽中等度以上のED(勃起維持頻度が10回中8回以下)の症状があることが分かりました。

20~30代のEDの原因には、睡眠不足などの肉体的疲労や、過剰なデジタル摂取といった生活要因が挙げられます。また、「性行為時の緊張」など、メンタルが起因する心因性EDが多いのもこの年代の特徴です。さらに、刺激の強いオナニーをし過ぎることによる「オナニーED」で当クリニックに訪れる若い患者さんもいらっしゃいます。

多くの場合、若年層のEDは一時的なもの。とはいえ、「若いから大丈夫」と放置していれば慢性化のリスクもあるので、注意が必要です。

EDが進行すると早漏になる?

次に、性行時の挿入時間とEDの関係を見てみましょう。

先ほどと同様、全国の「過去6カ月以内に性行為の経験がある」20~79歳の男性1万人に、「自分がEDだと思うか」「早漏、あるいは遅漏だと思うか」というアンケートを実施しました。

性行時の挿入時間とEDの関係

結果を見てみると、EDが進行すると、「早漏または遅漏である」と感じる割合が明らかに高くなることが分かりました。特に「早漏」と感じる割合は、加齢と共にその傾向が強まることも判明しています。

ちなみに、「適正と思う性交時の挿入時間はどのくらい?」というアンケートにおいては、前年代で最も多い回答が「約10分」、次いで「約15分」「約30分」となっています。これをEDの進行度別に比較すると、EDが進行するほど「適正」と感じる挿入時間は短くなり、特に高齢層になるほどEDの有無が挿入時間に大きく影響する結果になりました。

以上の結果から顕著になったのは、早漏や遅漏などの射精障害の一部はEDに起因している可能性が高いということ。ED治療薬は勃起改善だけでなく、射精障害を改善し、性行為全体の安定性向上にも寄与するといえるかもしれません。

ED治療薬の効き方と副作用は年代で違う

医療機関や製薬会社のED治療薬の副作用のデータの多くは、幅広い年齢層を合算した平均値であることがほとんどです。加えて、1999年バイアグラ承認時の情報が中心であるため、その対象者の多くが中高年層であることが推測されます。つまり、若い人でも「3人に1人」は軽度以上のED悩みがあるにもかかわらず、治療薬の「効き方」や副作用については、あまり注目されていないのが現状といえます。そこで、代表的な三剤であるバイアグラ、レビトラ、シアリスを実際に服用している20~79歳の男性1万人を対象に、副作用についてのアンケートを実施しました。

代表的な三剤であるバイアグラ、レビトラ、シアリスを実際に服用している20~79歳の男性1万人を対象に、副作用についてのアンケート

この調査から、ED治療薬の副作用の出現頻度が年代によって大きく異なることが分かりました。例えば、バイアグラを服用した際、「頭痛があった」と回答した割合は、

  • 20~39歳では2人に1人
  • 40~59歳では4人に1人
  • 60~79歳では10人

に1人となっています。

シアリスを服用した際に「目の充血があった」と回答した割合は、

  • 20~39歳では5人に1人
  • 40~59歳では7人に1人
  • 60~79歳では47人に1人

と、年代によって9倍以上の差があるケースも見受けられました。その他の副作用に関しても、いずれの治療薬でも20~39歳での報告が最も多く、逆に「副作用なし」に関しては、20~39歳が8人に1人という割合に対して60~79歳では2人に1人という結果に。このことから、若年層は副作用を感じやすく、高齢者は比較的穏やかにED治療薬を使用できる可能性があります。

ちなみにこのアンケートでは、それぞれのED治療薬の「効き方」についても調査しています。その結果、特に若年層ほど勃起力の向上を強く実感(凄く増したと回答)していることが明らかになりました。

それぞれのED治療薬の「効き方」についても調査

なぜ、若年層はED治療薬の効果や副作用を感じやすいのでしょうか。

それは、ED治療薬が血管に作用する薬だからです。基本的にED治療薬は、勃起に必要な血流を増加させるために、血管を拡張させます。血管が健康で柔軟であるほど、薬の血管拡張作用がダイレクトに伝わり、薬効や副作用が出やすいのです。

このように、ED治療薬の効き方や副作用は、年代によって大きく異なります。バイアグラの代用的な副作用である「頭痛」について、2024年7月改定(第8版)の添付文書ではその発現率を「3.87%」と記載していますが、当院のアンケート結果は先ほどお伝えした通りです。実際の使用者の声と巷の情報の数値には大きな差があることから、特に若年層においては、ネットや添付文書に記載された情報を鵜呑みにせず、信頼できる医師のアドバイスを元に判断することが重要です。

自己判断は禁物! オンライン診療も活用して、専門医に相談を

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まとめると、ED治療薬は年代や薬の種類によって、聞き方も副作用の出方も異なるということ。もちろん、その人の体質や疾患の有無も大いに関係してくるので、自己判断ではなく、医療機関で医師に相談した上で服用しなければいけません。

以前までは、ネット通販で個人輸入代行者などからED治療薬を購入する人も多かったものの、コロナ禍でオンライン診療が浸透してからは、病院から治療薬を郵送してもらうケースも増えてきました。オンライン診療によって「病院に行くハードル」が下がり、若年層や地方居住者の受診が進んでいるのは、とても喜ばしいことです。

この連載で何度もお伝えしていることではありますが、信用性の低いネット販売の薬を自己判断で使用することは、極めて危険な行為です。便利なオンライン診療も活用しながら、医師に相談の上、自分の体質に合った正規品の治療薬を選びましょう。