65歳の方などへの定期接種を実施! 50歳から気をつけたい「帯状疱疹」とその予防法
50代から増加し、80歳までに約3人に1人が発症するというデータもある帯状疱疹。身近な病気だからこそ、かかる前の予防への意識が大切です。そのため、帯状疱疹を予防するワクチンの定期接種※1が、2025年度から実施されています。定期接種の対象者ご本人はもちろん、そのご家族にもわかりやすく解説します。
提供:一般財団法人阪大微生物病研究会
お話をうかがった方
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院小児科・アレルギー科で診療に従事。論文・学会報告多数。診察室外で多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
日常生活に支障が出る場合も! 「帯状疱疹」ってどんな病気?
痛みで日常生活に支障をきたすこともある「帯状疱疹」
帯状疱疹とは、体の左右どちらか片側の皮膚に神経痛のような痛みが起こり、その部分に水ぶくれや赤い発疹が帯状に出てくる病気のこと。50歳代から増加し、70歳代で発症する方が最も多くなります。ひどい場合は眠れないほど痛むなど日常生活に支障をきたすこともあり、失明や難聴、顔面麻痺などの重篤な合併症を引き起こしてしまうケースもあります。
そのため、2025年度から帯状疱疹を予防するワクチンが定期接種の対象になり、接種費用の一部を公費負担で接種することができるようになりました。対象となる65歳以上の方はもちろん、対象のご家族がいる方も注目しておきましょう。
帯状疱疹になってしまったら…
- 痛みがひどくて、体を動かすのがつらい
- 痛みが気になって家事や仕事に集中できない
- 痛みのせいで、ぐっすり眠れない
- 顔や首の発疹が気になり、外出がおっくうになる
帯状疱疹の原因となるのは、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)で、神経節に潜んでいるウイルスが、免疫力の低下によって再び活動をすることで発症します。日本では、成人のおよそ9割が体内にこのウイルスを持っていると考えられており、帯状疱疹を発症する可能性があります。
発症後に治療が遅れたり、放置したりした場合には合併症や後遺症につながることもあり注意が必要ですが、症状には個人差があり初期段階では帯状疱疹と気づかないこともあります。したがって、まずは発症しないようにするために、日頃から予防を心がけることが大切です。
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帯状疱疹の症状は?
帯状疱疹の原因は?
帯状疱疹の予防には「体調管理」と「ワクチン接種」。2種類あるワクチンの特徴は?
帯状疱疹の予防策としてまず心がけたいのは免疫力の低下を防ぐような体調管理です。規則正しい生活とバランスのとれた食事、適度な運動を心がけましょう。もう一つ、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫力を上げるワクチンを接種するという選択肢もあります。
帯状疱疹のワクチンは2種類。それぞれの特徴は?
帯状疱疹のワクチン※2には、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」の2種類があります。ここでは、それぞれの特徴を簡単に説明しましょう。
帯状疱疹の「生ワクチン」は、水痘・帯状疱疹ウイルスの毒性を弱めて作ったワクチンです。帯状疱疹予防のための接種回数は1回で、皮下注射をします。
帯状疱疹の「不活化ワクチン」は、水痘・帯状疱疹ウイルスの表面に存在するタンパク質の一部と、ワクチンの働きを高める役割をする物質を組み合わせた組換えタンパクワクチンです。接種回数は2回で、筋肉内注射をします。
帯状疱疹を発症したことがない方はもちろん、帯状疱疹にかかったことがある人も、予防接種を受けることができます。高齢になって帯状疱疹にかかると、強い痛みが続くなどのリスクが高まり、生活の質(QOL)が低下することがあるため、定期接種※1の対象者はもちろん、主に50歳以上で任意接種が可能な方も、元気なうちに予防接種を受けておくのも選択肢のひとつです。
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帯状疱疹の予防とは?
帯状疱疹のワクチンについてもっと詳しく
65歳以上は要チェック!帯状疱疹の定期接種を実施
2025年度の定期接種※1の対象は、2025(令和7)年度に65歳になる方(1960(昭和35)年4月2日〜1961(昭和36)年4月1日生まれ)です。また、60~64歳で対象となる方※3と、経過措置で70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳以上になる方※4も対象です。
なお、2025年度の対象者は2026年3月31日までが定期接種を受けられる期限です。定期接種による公費助成を受けられるのは生涯に一度のみなので、接種機会を逃さないようにしましょう。
令和7年度に対象になる方の詳細はこちら
※1 定期接種は国が法律で接種することを勧めているワクチン接種で、一部公費負担で接種できる制度です。
※2 これらのワクチンは帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。
※3 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
※4 2025(令和7)年度から2029(令和11)年度の5年間は、経過措置のため対象となる方は5歳刻みとなり、2030(令和12)年度以降は、接種日時点で65歳の方のみが対象になります。 101歳以上の方は2025年度に限り対象です。
接種を検討するにあたり、あらためて定期接種の場合における2種類のワクチンの情報について確認しましょう。
| 生ワクチン:乾燥弱毒生水痘ワクチン*1 | |
|---|---|
| 接種方法 | 皮下接種 |
| 接種回数 | 1回 |
| 接種費用 (自己負担額) |
860円~8,860円程度
|
| 不活化ワクチン: 乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来) |
|
|---|---|
| 接種方法 | 筋肉内接種 |
| 接種回数 | 2回
|
| 接種費用 (自己負担額) |
10,000円~39,200円程度(2回接種の合計)
|
*1 免疫不全・免疫抑制状態の方や妊娠中の方などは生ワクチンの接種を受けられません。詳しくは医師にご相談ください。
お住まいの自治体の情報など、さまざまな情報を確認し、医師とも相談のうえで、ご自身の状況に合うワクチンを選ぶことをおすすめします。
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「帯状疱疹」の定期接種についてもっと詳しく
定期接種の期限は3月31日まで!ワクチン接種を選択肢のひとつに
帯状疱疹の予防のために、まずは生活習慣への意識を高め、ワクチンも検討してみましょう
成人の9割が水痘・帯状疱疹ウイルスを持ち、80歳までに約3人に1人が発症するというデータからも、帯状疱疹は極めて身近な病気です。高齢になって帯状疱疹を発症し、日常生活に支障をきたすほどの痛みを伴えば、生活レベルの急速な低下のリスクが懸念されます。
予防接種は、帯状疱疹を完全に防ぐものではありません。しかし、たとえ発症したとしても、予防接種を受けていれば症状が軽くすむというデータもあります。まずは免疫力を低下させないよう生活習慣への意識を高め、ワクチンを接種することも検討してみましょう。
また、定期接種が受けられるのは生涯で一度のみです。対象の方は3月31日までの接種機会を逃さないように、お住まいの市区町村の情報を確認しておきましょう。
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