新築住宅の価格高騰で注目!中古住宅の魅力と賢く選ぶチェックポイント

新築住宅の価格が高騰している今、中古住宅の購入を検討する人が増えています。そこで今回はAll About『長く暮らせる家づくり』ガイドの大塚有美さんに、中古住宅の魅力や購入時のチェックポイントと、中古住宅購入やリノベーションをサポートする【フラット35】の新サービスについて伺いました。

提供:住宅金融支援機構

お話をうかがった方

大塚 有美

All About『長く暮らせる家づくり』ガイド:大塚 有美

編集プロダクションにて編集のイロハを学んだ後、住宅情報誌の編集部門へ転職。10年間の勤務を経て独立し、現在は「住宅とその周辺」をテーマに雑誌などの原稿作成を中心に活動中。住む人、使う人の立場に立ったやさしい解説を心がけている。

中古住宅が注目されている理由

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近年、建築資材の価格や人件費の上昇などにより、新築住宅の価格が高騰しています。マイホームが欲しいものの新築住宅は予算的に厳しいことから、中古住宅を検討する人が増えているようです。

大塚 有美さん(以下敬称略)「中古住宅が注目されている理由は、新築住宅より中古住宅の方が割安なため、予算に収まりやすいというのが大きいと思います。

また最近では、インテリアや間取りの細部まで自分の好みに合う住宅を手に入れたいという人が増えており、注文戸建がよいけれど土地の用意が難しい、どうしても特定のエリアのマンションに住みたい、などとリノベーションを前提に中古住宅を検討する人も多いようです。

リノベーションについては雑誌やSNSなどで情報が拡がり、間取りも設備も大きく変えられることが知れ渡るようになりました。デザイン性の高いリノベーションが得意、定価制で工事費が明確などニーズに応えられる工事会社が増え、リノベーションをしてみたいと思う人が増えたことも中古住宅が注目される理由の一つになっていると考えられます」

メリットがたくさん!中古住宅の魅力

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価格面や自分好みにリノベーションできるというメリット以外にも、中古住宅にはさまざまな魅力があります。

大塚「駅や商業施設に近い利便性の高いエリアや、静かな住宅街など住環境のよいエリアは既に住宅が建ち並んでいるため、希望条件に合う新築住宅の売り出しは少ないようです。中古住宅なら販売のタイミングが合えば、希望条件に合う家を見つけられるでしょう。

また、中古住宅の周辺は、地域コミュニティがある程度完成しているケースが多いものです。そのため、どのような人が住んでいるのかであったり、住民のマナーやモラルを把握しやすいといえます。

築20年前後の中古住宅は、新築住宅より一戸当たりの床面積が広い傾向があります。近年は販売価格を抑えたり、世帯人数の減少に合わせたりするために床面積が小さめの新築住宅が多いのですが、築20年前後の中古住宅は割と広くつくられている印象です。広い家で子どもをのびのびと育てたいと考える人には、中古住宅の方が希望に合う住まいを見つけやすいかもしれません」

中古住宅を選ぶときのチェックポイント

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魅力の多い中古住宅ですが、購入後に安心して長く暮らすためには、どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。

大塚「新築住宅の購入と同じように、周辺環境や利便性のチェックはしっかり行いたいのですが、中古住宅購入で最も重要なのは建物の状態のチェックです。ただ、一般の人には判断が難しい面があるので、気になる人はホームインスペクションを利用するとよいでしょう。

ホームインスペクションとは、建築の専門家が第三者的な立場から建物の状態や改修すべき点を調査することです。契約前にホームインスペクション専門会社に依頼するケースが多く、費用は住宅の種類や調査内容によって変わります。

私はホームインスペクションの住宅調査に同席したことがあるのですが、色々な機器を使い、表から見えない部分まで丁寧にチェックしていました。調査内容にもよりますが、依頼すれば安心して購入するための判断材料になると思います」

そして、以下の7つも必ずチェックしておきたいと大塚さんはお話されます。不動産会社の担当者に聞いたり、役所で調べたりしましょう。

1:耐震性と断熱性

耐震性は築年数で概ね判断ができ、建築基準法の耐震基準が改正された2000年以降に建てられた住宅なら新築住宅とほぼ同等の耐震性を持っているといえます。

大塚「断熱性については建築基準法で定められておらず、住宅の品質確保の促進に関する法律(通称:品確法)や建物省エネ法などで基準が定められており、現在のところ単純に築年数だけで判断はできませんが、2025年4月からは建物省エネ法によって一定の基準が義務化されます。

ホームインスペクションを依頼しない場合であっても、窓の仕様(サッシの素材がアルミか樹脂との複合であるかどうか、複層ガラスであるかどうか)を確認したり、建築図面で断熱材の有無などをチェックするほか、住宅性能評価書を取得している物件ならば項目や等級をチェックしておくとよいでしょう。

断熱性が高い住宅は、夏は涼しくて冬は暖かく、日々の生活を快適にします。断熱性の低い窓サッシだったり、壁や天井に断熱材が入っていない場合、リノベーションして断熱性を高めることも可能です」

2:災害の履歴

宅地建物取引業法では、不動産の購入時に災害リスクに関する説明が義務付けられています。具体的には、土砂災害や津波災害、洪水などの水害の危険性の高い区域内かどうかなどの説明が受けられます。

大塚「災害リスクに関する説明を受けたうえで、実際に購入しようとしている物件がこれまで床上や床下浸水があったか、がけ崩れに巻き込まれたことはないかなど、災害の履歴を不動産会社に聞いておくとよいですね」

3:売り出された理由

家が狭くなった、転勤で住めなくなったなどが理由であれば、住宅の瑕疵や周辺環境の問題ではないことが分かります。一方、近くに工場ができた、近隣住民とのトラブルなどが理由の場合は慎重に購入を検討した方がよいかもしれません。

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4:水道管やガス管の引込みの状況と、浄化槽の位置【戸建の場合】

古い住宅の場合、水道管やガス管が隣家や私道の地下を通って敷地に引き込まれていることがあります。その場合、漏水や破裂などが発生してトラブルが起きる可能性もありますので、購入前に確認しておきましょう。

大塚「生活排水処理に浄化槽を用いている住宅の場合、浄化槽が埋設されている位置を確認してください。庭の片隅などメンテナンスや交換しやすい位置なら問題ありませんが、場所によっては交換できなかったり交換費用が高額になったりします」

5:土地の権利関係【戸建の場合】

中古住宅は土地と建物を併せて購入することになりますが、その際、土地の権利について必ず確認しましょう。

大塚「所有権の場合は土地も自分の所有物となりますが、借地権の場合は土地を借りる権利を購入することになります。住宅ローンの支払いとは別に、毎月土地の賃料がかかるだけでなく、借地権は地主の承諾なしに土地を売却したり、第三者に貸したりできないためため注意しましょう」

6:用途地域と、建築基準法を満たした建物かどうか【戸建の場合】

用途地域とは、建てられる建築物の用途や種類、大きさなどを定めたルールで、13種類に分けられています。現在は静かな住宅街だとしても、用途地域の種類によっては今後大規模な商業施設や遊戯施設が経つ可能性があるので、住環境を重視する方は必ずチェックしておきましょう。

大塚「用途地域を調べれば、建物の大きさの上限が定められた建ぺい率と容積率も分かります。このときに、現在建っている家が違法建築ではないかも確認しましょう。仮に、増築により建ぺい率をオーバーしている、敷地に接する道路の幅が基準を満たしていないなどの場合、住宅ローンが借りられない可能性があります」

7:修繕の履歴や今後の計画と、管理組合の収支【マンションの場合】

マンションが適切に維持管理されているか確認するために、修繕履歴と今後の大規模修繕などの計画書を見せてもらいましょう。さらに、管理組合の収支報告書も見せてもらい、修繕積立金や管理費の滞納がないかも確認しておきましょう。

中古住宅購入をサポートする【フラット35】中古プラスが登場

住宅取得のために住宅ローンを利用するとき、返済計画が立てやすい長期固定金利の【フラット35】を検討する方は多いでしょう。もちろん中古住宅の取得にも【フラット35】は利用できますし、2025年4月には借入金利が一定期間引き下げられる【フラット35】中古プラスが登場します。

中古プラスが新登場!

【フラット35】中古プラスは、良質な中古住宅を取得する場合、当初5年間の金利が年▲0.25%引き下げられるというメニューです。【フラット35】Sや【フラット35】子育てプラスなど、他の金利引下げメニューとの併用も可能です。

【フラット35】金利引下げメニューの詳細>>

【フラット35】中古プラスの適用にあたって、現行のフラット35劣化状況基準に加え、目視で確認できる範囲において、著しく機能性が失われていないか検査で確認する必要があります。

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【フラット35】リノベが使いやすく変更される

中古住宅購入と併せて、一定の要件を満たすリノベーションを実施する場合には、【フラット35】リノベが利用できます。【フラット35】リノベは、リノベーションの内容と工事金額により当初5年間の金利が年▲0.5%または▲1.0%引下げられるというものです。2025年4月から工事金額の要件がなくなり、さらに使いやすくなります。

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大塚「物件購入とリフォーム一体型のローンもありますが、借入の条件が厳しかったり、金利が高めだったりすることもあり、住宅ローンとリフォームローンの2本を組むケースも少なくありません。このとき、ローンを2本組む煩わしさや、2本分の事務手数料がもったいないと感じる方もいるでしょう。

その点、【フラット35】リノベなら1本のローンで対応できるうえ、要件を満たせば金利引下げの適用も受けられます。中古住宅購入とリノベーションを併せて検討している方にとって、とても大きなメリットのあるローンだと思います」

※2025年度予算案については、国会の議決を経て正式に決定することになります。2025年度予算の成立を前提に2025年度において実施を予定している事項については、決定次第機構ホームページ(www.jhf.go.jp)またはフラット35サイト(www.flat35.com)でお知らせします。

無理のないマイホーム取得が一番大切

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大塚さんは住宅取得に際し、『無理をしないこと』が一番大切とお話されます。

大塚「マイホーム取得は人生において数少ない機会なので、昔は無理をしてでも広くて立派な家が欲しいと考える人が多くいたものです。しかし最近は、お客様は滅多に来ないので来客用の部屋はなくてもいい、子どもはいずれ独立するから子ども部屋は必要充分でいいなど、自分たちの暮らしにちょうどよいサイズを求める人も増えてきました。

無理をして大きな家を建てないことは住宅取得費用を抑えることにつながり、ローンの返済負担も軽くなるため、日々の暮らしを楽しみやすくなります。さらに、中古住宅なら新築住宅と比べると取得費用を抑えやすくなります。

住宅取得費用を抑えつつ、自分たちにあった家を手に入れるなら、中古住宅はよい選択肢です。無理のないマイホーム取得のために検討してはいかがでしょうか」