軽減税率導入まであと少し…。補助金を活用してレジの対応を!

消費税率の引き上げに伴い、10月より導入される軽減税率制度。対象品目については理解が進んでいても、あまり進んでいないのが対応するレジ・システムの導入。買い替えには軽減税率対策補助金が利用できるとのことですが、それって一体どんなもの? All About『中小企業・個人事業主の節税対策』の今村さんに、お話をうかがいました。

提供:中小企業庁

お話をうかがった方

今村 仁

All About『中小企業・個人事業主の節税対策』ガイド:今村 仁

税理士、宅地建物取引主任者、CFP。ベンチャー・起業家・中小企業の参謀役税理士(SZ)として、会社設立から株式公開支援まで幅広くサポート。大阪・京都・神戸・滋賀・奈良・東京・横浜を中心に活動する。著書に『3か月でできる決算対策完全ガイド』(日本実業出版社)など。

8%? それとも10%? 軽減税率に対応したレジ導入が必要な理由

「軽減税率の導入は、すべての事業者に関わりがあります」と、今村さん。

今村さん(以下敬称略)「飲食業でなくても、福利厚生費や交際費など、飲食に関わる経費は発生します。たとえば、お客様に出すペットボトルのお茶も軽減税率の対象になりますから。こうした経費の帳簿での処理に加え、発行する請求書や領収書にも注意が必要です。税率の異なるものが混在していれば、軽減税率対象か否かを明記するか、それぞれの適用税率(8%か10%)を示すなどしなくてはなりません」

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もちろん、小売業や飲食業などのレジで発行されるレシートも同じこと。

今村「たとえば、税抜100円のバナナと鉛筆を買ったとき。バナナは8%、鉛筆は10%と消費税率が異なり、それぞれ108円、110円となりますが、218円の合計金額に加えて、108円、110円と、税率ごとの合計金額も併記する必要があります。これが軽減税率に対応したレジ・システムならきちんと区分されますが、対応していないと手書きするしかない。これでは手間がかかる上に、企業としての体裁も良くないですよね」

そう語る今村さんですが、現状、軽減税率対応レジの導入は、まだ十分に進んでいるとは言えない状況だとか。

今村「大企業などプロジェクトチームを組んで対応しているところも多いですが、中小企業や、家族経営の零細企業など、まだ十分に対応できていない企業も多くあるという印象です。適用税率が異なる品を扱っている場合は、10月以降混乱を招いてしまう可能性があります」

それならば、今のうちから対応レジを準備しておきたい……! そう思っている人に対し、今村さんが教えてくれたのが「軽減税率対策補助金」の存在でした。

軽減税率対策補助金って? 何に使える? >>

軽減税率対策補助金を利用すると、レジの導入がここまでおトクに!

軽減税率対策補助金とは、中小企業や個人事業主を対象とした国の制度。軽減税率の対応にかかる経費の一部を補助することで、導入がスムーズに進むように支援するものです。

今村「軽減税率対応レジ・システムの導入に関して言うと、補助金額はレジ1台あたり20万円までで、1社あたり上限200万円となっています。対象となるのは、POS機能のないメカレジ、モバイルPOS、POSレジ、券売機。レジのパターン4種類の補助率と上限額は下の図にまとめたとおりで、それぞれ導入や改修によって軽減税率に対応した上で申請を行うと、補助金が支給される仕組みです」

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レジのタイプや台数などによって補助金額は変わるとのことですが、具体的にどのくらいなのかが気になるところ。そこで今村さんに、金額を挙げながらひとつの例を紹介してもらいました。

今村「基本的にはレジ本体とバーコードリーダーのような付属機器のほか、設置に係る運搬費などが補助金の対象で、レジロールなどの消耗品や保守契約は含まれません。もし、POS機能のないメカレジを1台、本体価格2万3,500円で購入し、運搬費が1,000円だった場合、レジ購入額は3万円未満のため補助率4/5、設置に係る費用は補助率3/4。具体的にはそれぞれ1万8,800円、750円となり、合計した1万9,550円が交付申請額です」

この試算によると、実際の負担額は4,950円! ここまで補助してもらえると、かなり助かりますよね。

今村軽減税率対策補助金を知らない人は意外と多いのですが、利用しないのはもったいないというもの。多くの方に、ぜひ利用していただきたいですね」

導入パターン別に、もっと詳しく見る >>

軽減税率制度の導入までもう間もなく。今のうちに補助金申請を

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軽減税率対策補助金は、2019年9月30日(月)までにレジの導入もしくは改修をし、支払いが完了していることが条件。問題がなければ、申請後2〜3か月ほどで交付されるそうです。「補助金の申請は難しそう……」と思うかもしれませんが、ご安心を。メーカーや販売店によっては「代理申請」を受け付けているので、これを利用すれば、個人で申請するよりも手軽に補助金を活用することができます。

今村「申請書の記入は意外に面倒なもの。慣れない書類なので難しい言い回しがあったり、記載内容を間違えたりしがちですが、代理申請を行えばその手間は必要ありません。料金が発生しないのもうれしいところ。代理申請協力店は、軽減税率対策補助金事務局のサイトから検索できます」

もう間もなく導入される軽減税率制度は、私たちが体験したことのない制度。買う側も売る側も戸惑うことがないように、今のうちから準備しておきたいものです。

今村「軽減税率対策補助金は、決済端末などの周辺機器も対象です。インバウンド対応やキャッシュレス化が叫ばれるこの時代だからこそ、このタイミングで済ませておけば、せっかく訪れたお客様を逃すこともなくなるはずですから、ぜひ利用したいですね」

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