外国人がモノ申す。日本人のみなさん、和のたしなみを忘れていませんか?

昼間はマーケッターとして働きながら、フード・ライター/トラベル・ライターとして幾つか記事も書いているイタリアとアメリカのハーフ、キアラと申します。山深い神戸に住んでいたこともありますし、今は大都市の東京に住んでいて、計8年間日本に住んでいることになります。日本の食事、そしてそれを取り巻く食文化・習慣に興味津々で、日本に住み、日本の料理をいっぱい楽しんできました。2007年に初来日してから現在まで、日本の食事の変化と流行をいっぱい見ましたが、現代の日本人が好む味覚や感覚が明らかに極端になっていると感じています。

提供:サラヤ株式会社

お話をうかがった方

三浦 康子

暮らしの歳時記ガイド:三浦 康子

和文化研究家、ライフコーディネーター。わかりやすい解説と洒落た提案が支持され、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演、商品企画などで活躍中。様々な文化プロジェクトに携わり、子育て世代に「行事育」を提唱している。順天堂大学非常勤講師。著書、監修書多数。

和食の気品

和食の真髄とは、季節の食材を活かすことにある。「鮨」とは、見た目の美しさ、味わいだけでなく、旬の魚の持つ様々な香りを楽しむものでもある。腕の立つ職人は、ネタに包丁を入れた瞬間に、その善し悪しを嗅ぎ分ける

和食の真髄とは、季節の食材を活かすことにある。「鮨」とは、見た目の美しさ、味わいだけでなく、旬の魚の持つ様々な香りを楽しむものでもある。腕の立つ職人は、ネタに包丁を入れた瞬間に、その善し悪しを嗅ぎ分ける

2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、日本の食文化(Washoku:和食として知られています)は、世界規模で認められるほど人気になっています。お寿司や天ぷら、ラーメンはいまや世界中の街中の食事のひとコマになっていて、日本政府観光局の調査では、訪日観光客が日本を訪れる一番の理由は料理、という調査結果が出ています。このように日本食が人気なのは以下のような理由があるからです。

それは、季節の旬の素材を使い、非常に手が込んで繊細にきれいに盛り付けられていて、目で見ても味わえるおいしいごちそうだからです。

季節によって変わるメニューや味付けはいつも何が出てくるかワクワクして、辛い味付けや濃い味付けではないにもかかわらず、和食を飽きさせないものにしています。また、和食の別の魅力はヴィジュアルにあります。シンプルで家庭的な出汁巻き卵から京都のエレガントな懐石料理まで、繊細な色遣い・食感・そして料理が盛り付けられている器へのこだわりが素敵だと思います。

目で、舌で、そして鼻で味わう。和食のマナー

板皿に置かれた鮨を口に運ぶ。その時、人間の五感で最初に反応するのは「嗅覚」。同じ魚種でも産地によって香りや味が異なるのは、その海の栄養素が違うからだ。あなたの鼻をくすぐるその香りは、自然の恩恵、旬をそのもの

板皿に置かれた鮨を口に運ぶ。その時、人間の五感で最初に反応するのは「嗅覚」。同じ魚種でも産地によって香りや味が異なるのは、その海の栄養素が違うからだ。あなたの鼻をくすぐるその香りは、自然の恩恵、旬そのもの

初めて日本食に出会ったのは、確か7歳か8歳の時でした。お寿司が大好きな両親に、当時イタリアにあった数少ない日本食レストランの「濱清」(Hamasei)に連れていってもらいました。その時、両親は「お寿司がどんな食べ物か」ということは私に説明せず(おそらく生魚と言ったら、食べなかったでしょう)に、日本人の子供が好んで食べそうなお寿司のお任せ握りを注文しました。

お寿司の盛台がテーブルに運ばれてきたときのことを覚えています。可愛らしいサイズで色とりどりのお寿司がきれいに並んでいて、親にずっと「かわいい、かわいい」と言っていました。海苔で巻かれた酢飯、そしてその上に載っている魚の味や食感はこれまで食べた魚料理とは全く比べ物にならないくらい違っていました。カウンター・テーブルのスギの香り、そして完璧な盛り付けと素晴らしい味は私に鮮明な印象を残しました。

和文化の専門家である三浦康子氏によると、味覚以外の感覚も使って料理を楽しむのが、まさに和食が意図している楽しみ方とのこと。和食はやはり五感で味わうものだそうです。 『「だしの香り」は、味噌汁から惣菜まで、日本の食卓に欠かせない香り。「旬の香り」は、山菜や松茸など、四季折々に日本の食卓を彩る香りです。香りをはじめとして、和食器は手で持つのが前提なので手触りが楽しめますし、四季折々の絵柄や形、素材も豊富です。自然素材の竹などは、その香りも料理の一部になります』

外国人が感じる、日本人らしさはどこへ?

職人と客が向き合うミニマルな空間。飾らないシンプルな設えに、「鮨」そのものが美しく映える。そこに余計な匂いはなく、清潔できれいな空気が満ちている。四季折々、旬の鮨ネタの味と香りをゆったりと楽しみたい

職人と客が向き合うミニマルな空間。飾らないシンプルな設えに、「鮨」そのものが美しく映える。そこに余計な匂いはなく、清潔できれいな空気が満ちている。四季折々、旬の鮨ネタの味と香りをゆったりと楽しみたい

日本に来てから、レストランの中で喫煙に対する規制が弱すぎる一方で、かつては「清潔さと匂いを抑える」ことに注意を払うことがごくごく当たり前の習慣だったことに気付きました。しかし、ここ10年間で、レストランの中での喫煙の面では改善が見られるものの、他の問題が表面化してきました。強すぎる、過剰な柔軟剤などのにおいで食事の楽しみを台無しにされることがよくあります。

豚骨ラーメンや揚げ物のような料理はそれらの匂いを打ち消すのに十分なほど料理自体の匂いが強いものですが、隣のご婦人の花のような香水の強い香りやウェイターさんの服の消臭剤の匂いが、鮨や他の和食の味や香りを台無しにしてしまいます。

最近流行っている数々の辛すぎる料理やニンニク、パクチーに覆われている料理は香りを感じ取る鼻や味覚を感じ取る舌に強すぎる刺激を与えており、そのような「やりすぎの味付け」はこの強い香水や洗剤と何か関係しているのではないでしょうか。

日本人らしい“香り”との付き合い方

取材協力:「潤」  カウンター7席、小あがり4席の居心地の良い空間のなかで、ご主人が毎朝仕入れる旬の魚をゆっくり味わう。江戸前の伝統を受け継ぐ良店。 住所:東京都台東区東上野3-14-11サングレースビル1F  電話番号:03-6803-2315  営業時間:17:30~23:00(予約可) ※定休日:日曜・祝日

取材協力:「潤」

カウンター7席、小あがり4席の居心地の良い空間のなかで、ご主人が毎朝仕入れる旬の魚をゆっくり味わう。江戸前の伝統を受け継ぐ良店。

住所:東京都台東区東上野3-14-11サングレースビル1F

電話番号:03-6803-2315

営業時間:17:30~23:00(予約可) ※定休日:日曜・祝日

このような繊細な料理と味に対する感覚からすると、和食ひとつが出来上がるまでに多くの下ごしらえや準備がされているのに、香水や消臭剤のような強いにおいが和食を楽しむという体験を損なってしまうように思えるのですが、残念ながらそのような強い香水の香りや柔軟剤のにおいがありふれたものになってしまっているようです。

先にご紹介した三浦氏も、この問題についてご実家でたくさん経験しています。三浦さんは『じつは私の実家は鮨屋や料亭旅館を営んでいたのですが、せっかくの食事の場で残念だと思うお客様の筆頭が、香水の強いお客様でした。たばこは控えていただけますが、つけていらした香水はどうすることもできませんし、周囲の方にも影響するからです』と仰っています。

和食を楽しむという経験を思い出深いものにするために、「和食そのものの香り」が他の強烈な香りや匂いに邪魔されないことがとても大切です。自分の服や店員さんの服からテーブルクロスに至るまで、ヤシノミ洗剤のような完全に無臭の洗剤で洗濯することが、日本料理の繊細な香りを楽しむにために必要なことです。最近見つけたヤシノミ洗剤のランドリーシリーズは植物性で肌にやさしいということ、そして何より無香料であるという点からも、アレルギーがある人であっても安心して使えます。

無香料であり、植物性で肌にもやさしい『ヤシノミ洗たく用洗剤』と『ヤシノミ柔軟剤』

無香料であり、植物性で肌にもやさしい『ヤシノミ洗たく用洗剤』と『ヤシノミ柔軟剤』

強すぎる香りや匂いを控えるのは、料理を作って供してくれる料理人・シェフの方に対する適切なマナー、そしてレストランに来ている他のお客さんに対するマナーだと思います。同時に自分自身の和食を味わう体験をより良いものにしてくれるはずですので、グルメ達にお勧め。香りに敏感な鼻そして和食の楽しみを再発見させてくれますよ!