ごとう ももかず
泌尿器科学、排尿機能、神経泌尿器科学専門。高齢者の排尿障害、尿失禁の診断・治療、神経因性膀胱、排尿障害におけるQOLなどの多くの研究実績を元に、腎臓・膀胱・尿路の病気に関する情報を解説します。
尿路の働きというと、おしっこを作ったり出したりすることとお考えの方が多いと思います。無論、それは尿路の大切な役割ですが、単なる老廃物の排出ばかりでなく、体内の水分や電解質、血圧などを調節するという重要な役割も担っています。私が専門とする泌尿器科では、尿路である腎臓、尿管、膀胱、尿道などの疾患と男性の生殖器に関わる疾患を扱います。尿路の病気には腎がんや膀胱がん、前立腺がんなど、命に関わるような悪性疾患から、排尿障害のように命には関わらないけれども、QOL(生活の質)を損ねるものまで幅広い範囲が含まれます。このシリーズでは、尿路全般の働きと尿路系の疾患について解説する一方、読者に役立つ適切な情報をお届けしたいと思います。早期治療が決め手となる悪性疾患のいち早い発見や、恥ずかしくてなかなか踏み切れない排尿障害の受診の後押しなどにつながれば幸いです。記述に関しては、一般向けの分かりやすさを念頭に置きながらも、医学的に正確であることに留意しています。関心のある尿路系の病気について、それがどのような症状で、どのような治療を要し、どのような方法で治るのか――をお示しできればと思います。
前立腺がんの原因・メカニズム
前立腺がんが起こる詳しい仕組みはよく分かっていませんが、男性ホルモンが関係していることは確か。80歳以上の7割前後がかかっていると言われています。近年はPSAという腫瘍マーカーが判定に役立つことから、早期発見できるようになりました。
前立腺がんの症状・診断
前立腺がんの初期には、まったく症状が現れないのが特徴。検査では、PSA検査、超音波検査、直腸診を必ず行います。これらのうち1つでも異常が認められると生検を行い、がんかどうかを確定します。がんがみつかれば進行度を確認し、治療方針を決めます。
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