つぼくら まさはる
東京大学医学部卒。福島第1原発から北に23kmに位置する南相馬市立総合病院にて非常勤内科医を務める。通常の診療による被災地支援の他、ホールボディカウンターによる内部被曝検査も精力的に行い、被曝に関する現地の課題に対応している。住民を対象とした放射線説明会も積極的に行っている。
皆様こんにちは。南相馬市立総合病院で非常勤内科医をしております、坪倉と申します。 亀田総合病院で研修医を行った後、千葉と東京で血液内科医として働いておりました。東日本大震災後、被災地支援で2011年4月に浜通りに入ったのが最初です。外来診療を始めたのが2011年5月でしたが、2011年7月にホールボディーカウンターが導入されたのがきっかけで、内部被曝検査のお手伝いもさせていただいております。 ホールボディーカウンターが導入されてから、この検査は実際の放射能量だけではなく、今後の生活の指針など様々なことを教えてくれました。その一方でわからないこと、内部被ばく検査自体の限界も明らかになってきました。 放射線の基礎的なことに加えて、今現場で何が問題となっているかをご紹介したいと思っています。
外部被曝と内部被曝の人体への影響・違い
放射線による被曝には、外部被曝と内部被曝の2つがあり、検査法も対策法も異なります。一般的なレントゲン検査は外部被曝、がん検診などで行うPET検査は内部被曝。ホールボディカウンターで体内の放射線物質量を計測することもできます。内部被曝対策として気をつけるべきは食品ですが、外部被曝も内部被曝もどちらが人体に影響があり危険というものではありません。あくまでも量の問題です。
内部被曝検査結果…セシウムがほぼ検出されない理由
被災地で2013年に行われたホールボディーカウンターによる内部被曝の検査結果では、小児の99.9%以上、成人の95%以上で、放射性セシウムが検出されませんでした。半減期30年なのに、なぜ体内から検出されないのでしょうか? これには「生物学的半減期」という働きが関わっています。成人は約4ヶ月、1歳児は10日で、体内の半分の放射性セシウムが排泄されるのです。
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