クレジットカード/クレジットカード関連情報

サブプライムローン問題とクレジットカード

サブプライムローン問題は住宅ローンの焦げつきとして取り上げられますが、個人信用情報の濫用という観点からも考察する必要があります。日本のクレジットカードの仕組みに関係する欠かせない視点です。

岩田 昭男

執筆者:岩田 昭男

クレジットカードガイド

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金融工学の粋を集めたサブプライムローン!

サブプライムローンとは、信用力の低い個人向けローンのことです。信用力の高い層をプライムと呼ぶのに対して低い層を「サブ」・プライムと呼びます。これがブームになったのは、個人の信用力を格付して数値化する「クレジットスコア」、最初の数年間は低金利で提供できる「変動金利型住宅ローン(ARM)」、ローン債権を証券にして世界の投資家に購入させリスク分散を図る「証券化」という三つの道具立てが揃ったからです。こうした斬新な金融工学を駆使してこれまで手つかずであったサブプライム層を開拓して一時は莫大な利益を金融界にもたらしたのです。

どんなに粉飾しても高リスクだった!

ところが、2006年に住宅バブルが弾けてからは、住宅価格が下降カーブを描くようになったために思うように借り換えができなくなり、多くの人がローン返済不能に陥りました。いくらノーベル賞級の学者が知恵を絞って粉飾しても高リクスの人はやはり高リスクだったわけです(サブプライムローンをはじめ米国の金融資本はいま「策士策に溺れる」という諺の通りに推移している気がします)。

弱者を瞬時に特定できる個人の信用格付=クレジットスコア!

その結果、世界で20兆円を超える損害が発生しました(もっと多いという声があります)。日本では「ゆとり返済」とあわせて報道されることが多いために「住宅ローン」関連とみられていますが、クレジット業界に引き寄せて考えると、個人の信用力、つまり、クレジットスコアという仕組みが重要といえます。この高度な信用システムが完成していたから、米国ではサブプライムな人たちをピンポイントで選び出しローンを勧めることができたのです。

クレジット履歴、カード保有年数、照会回数などで格付!

クレジットスコアは、米国三大情報機関が発行しています。返済履歴、借入金総額、返済期間などから算出されますが、三つの信用情報機関に入るデータはほぼ同じものですから、スコアは似た数値になるといわれます。ローン会社はこのスコアを元に借手を格付し金利など貸出し条件を決めています。スコアの点数が高い人は、低い金利で、点数が悪い人には高い金利で貸し付けているのです。スコアの計算方法の詳細は一般に公表されていませんが、1)クレジットカードの保有年数(長期間保有していると点数が高くなります)、2)クレジット履歴(延滞や事故があれば減点対象になります)、3)クレジットカードの与信額とローンの負債額(与信枠に対する未払い額の割合が多ければ減点対象になります。リボルビング払い多用は注意)、4)与信情報の照会回数(多ければ減点になります。経済的困窮のためにクレジットカードを複数枚持とうとしているとみられるから)、5)その他ローンの数やクレジットカードの枚数などから評価されています。
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