リヨンの郷土料理「アバ料理」
3品目は、リヨンの郷土料理であるアバ料理。「本日のアバ料理」から、アンドゥイエットをチョイスしました。アバ料理とは、内臓を使った料理のことで、アンドゥイエットとは、豚の大腸、胃などにマスタードを加えて大腸に詰めたソーセージのこと。内臓料理といえば、「苦手」「臭いがダメ」という方が多いと思いますが、臭みはぜんぜん感じません。リヨンの郷土料理であるアバ料理の「アンドゥイエット」 |
「内臓を酢で2回ゆでこぼし、それに白ワインと水に香味野菜、ブーケガルニを加えてトロトロと3時間ほど煮込んで、臭みをとっています」とシェフが説明してくださいました。ていねいに下処理されており、日本人向けの味になっているのでしょう。
ソースはクリームとエシャロット、そしてディジョンマスタードを使用したもの。ディジョンはフランスの都市の名前で、そこで作られたブランドマスタードだそう。マイルドできつくないのが特徴です。アンドゥイエットのうまさを引き出しています。
このアンドゥイエット、見た目には小さく感じたのですが、食べて見るとボリューム満点です。「中身がぎっしりつまっていますから!」と砂川さん。「リヨンではもっとボリューム満点なのですが、ここでおなかがいっぱいになってしまうと後がつらいので、控えめサイズにしているんです」とのこと。これは最後までたどり着けない……と思い、申し訳ないのですが、パンは食べるのを止めておきました。
付け合わせは、こんがりポテトとあめ色のタマネギ。リヨネーズ(ア・ラ・リヨネーズ=リヨン風)とは、「リヨンの料理」という意味のほかに、薄切りにしてあめ色になるまで炒めたタマネギを使った料理のことを指します。あめ色のタマネギと聞いて思い出す「オニオングラタンスープ」も、リヨンの郷土料理のひとつです。
「日本で『フランス料理』といえばグランド・キュイジーヌ、つまり和食でたとえるなら懐石料理のようなものをイメージされると思います。しかし、フランスで一般的に食べられているのは、煮込み料理が多いです。当店では、一般的な家庭料理と、リヨンを代表するアバ料理をぜひ食べていただきたいと思っています。フランスのカジュアルなレストランでは、大きなお皿に、豪快に盛り付けられて出されることが多いのですが、皆さんが抱かれる『ハレ』のフランス料理のイメージも大切にしたいので、1皿1皿美しく盛りつけてお出ししています」
ふんわりとろける食感が楽しい「クネル」
リヨン料理の代表的メニュー「クネル」 |
「はんぺんみたい」ということで、ナイフとフォークを使って食べようとしたのですが、フォークでさすことができないほどやわらかかったのです! 「スプーンをお使いいただいたほうがよいです」とのことで、再び、スプーンですくい、口に入れると、ふわっとなくなってしまいました。はんぺんというよりも、マシュマロやスフレに近い食感です。なめらかで、ふんわりしていて、女性が好きな食感ではないでしょうか。
オマールエビを使ったソースと、とてもマッチしています。「ソースはいろいろなものがあるのですが、エビのソースが一番クネルと合うと思っています」と、砂川さんは自信を持ってそう言われました。シェフが「パナードが混ぜ込んでありますので、冷めるとしぼんでしまいます」と言われましたが、冷める間もなく、夢中でたいらげてしまったことを白状いたします。さらには、付け合せの野菜(ブロッコリーや豆類でした)でソースまでぬぐって食べてしまったことも。
おいしい料理はまだまだ続きます。チーズ料理とデザートの紹介です。