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文明開化の味がする?横浜の牛鍋に舌つづみ

「横浜の鍋」と言われて思い浮かぶのは『牛鍋』。関内には牛鍋を出すお店が数件ありますが太田なわのれんのものはちょっと変わっていて、お肉が「ビックリ!」です。

田辺 紫

執筆者:田辺 紫

横浜ガイド

横浜の鍋と言えば、やはり牛鍋。この牛鍋が生まれたのは、文明開化とさわがれた明治時代のことなのです。外国人居留地(現在の山手周辺)の近くには、外国人の真似をして牛肉を食べさせるお店が登場しました。はじめは串にさした牛肉を焼くだけだったそうが、後に日本人の口に合うように考え出され、牛鍋になりました。「すき焼き」の元祖とも言われています。

数件残る牛鍋店の中から「横浜の鍋」代表として、太田なわのれんの牛鍋をご紹介しましょう。
※この記事は2001年11月の情報です。

太田なわのれんは明治元(1868)年創業で、現存している牛鍋店の中で最も古いお店です。武家屋敷のような白壁の建物で、壁には牛鍋を好んで食べたという横山隆一氏が描いたフクちゃんの絵と、奉行所が店名を認めたという看板があります。店名になっている「縄のれん」をくぐると、明るい雰囲気のロビーになっています。ちなみに縄のれんは、明治時代にハエ除けとして店先に下げられていたものです。


こちらの牛鍋で使われるのは、一般的なしょう油ベースの割下ではなく、味噌仕立てになっています。創業者である高橋音吉が、ボタン鍋(イノシシ鍋)をヒントに考え出したそうです。実は味噌は肉をやわらかくする効果があるそうです。

そしてもう1つの特徴が、サイコロステーキのようにぶつ切りされた肉を使うこと。音吉は、太っ腹なうえにたいへんな酒豪だったそうで、酔っぱらいながら仕事をしているうちに、「薄切りにするなんて面倒だ」と、肉をぶつ切りにして出したところ、好評になったそうです。その創業者のアイディアとレシピを受け継ぎ、現在までのれんが守られています。

広間に案内され、少々緊張ぎみに座ると、庭の景色が飛び込んできます。なんて優雅なひととき。広間だけでなく、4人以上で予約すると和室やテーブルなどの個室も選べます。どのお部屋からも庭の風景を楽しめるそうです。



いろいろあるコースの中から、牛鍋御前(7,500円)を選んでみました。これ土・日・祝日のランチタイム(12:00~15:00)だけの、比較的おトクなメニュー。ぶつ切り牛鍋に小鉢とお吸物、ごはんと水菓子がついてきます。

季節の小鉢をいただいていると、メインの牛鍋が運ばれてきました。(実は、この小鉢もたいへんおいしくて、牛肉のしぐれ煮だけでご飯がいただけちゃいます)
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