駒込富士と麦わら蛇
江戸時代、富士山に登ることは庶民のあこがれだった。しかし、そうそう叶う夢ではない。まして女性は入山が禁じられていたのだ。これは富士山が女神をご神体とするところから、女性が登ると天変地異が起こると信じられていたからなのだ。
そこで、身近なところにミニ富士山(溶岩で作られたものが多い)を建てて、これをお詣りしよう、という試みがあちこちで始まった。なんでも、江戸の町にはおよそ70の富士塚があり、冨士講と呼ばれる富士信仰がとても盛んになったという。
今もその一部は、あちこちで見ることが出来る。
これはいずれ記事としてご紹介したいが、品川神社や、駒込の富士神社、千駄ヶ谷の鳩森八幡の富士塚などは、実に登りがいがある。
この時期だけに授与される麦わら蛇 |
中でも、駒込のお富士さんで知られる駒込富士神社では6月30日~7月2日に、夜店もでて大いににぎわう。このとき授けられる「麦わら蛇」は、魔除け厄除けに御利益あり。ちょっと舌を出した顔がユーモラスだ。また麦落雁という富士山をかたどったらくがんも、ここならではだ。
たくさんの人が訪れる境内を眺めていると、暑い夏、そして今年の後半戦に向けて、無事を祈る気持ちは、江戸の頃も今も変わらないなぁとしみじみ思う。
○駒込富士神社
・住所:文京区本駒込5-7-20
・交通:JR山手線「駒込」駅、南北線「本駒込」駅
・地図:Yahoo!地図情報