お月見は十五夜だけじゃない
片見月に二十六夜待ち
天の川など望むべくもない都会の空ですが、驚くほど清冽な月の光に驚かされることはありませんか。また、月のみちかけを記したカレンダーが、コンスタントに人気を集めているようです。空の見えない東京にあっても、月のリズムを感じながら暮らしている人が多い証でしょうか。
空が澄み、その月が最も美しく見えるとされるのが旧暦の8月15日。いわゆる十五夜です。今年の十五夜は10月6日。満月はその翌日7日、しかも土曜日です!
「芋名月」などとも呼ばれますが、これはお芋(この場合はサトイモ)の収穫を祝う意味もあるからです。
さらに昔の人は、十五夜の支度だけすることを「片見月」と呼び、縁起が悪いとしてきました。
今回は十五夜の催しを中心に集めてみましたが、空が見えるところであれば、公園でもビルの上でも、あるいはベランダからでもお月様に会うことができます。可能であれば、今年は11月3日に訪れる十三夜(栗明月)も愛でましょう。お月見デートの次を誘う口実にもなる?!かつて吉原でも、そんなジンクスが利用されていたようですが、さぁ、それは腕次第ということで・・・
高輪にあった月の岬
また江戸時代には、これに先立ち旧暦7月26日の「二十六夜待ち」というイベントもあったと言います。こちらは、いわゆる「月待ち」。背景には、月が出るときには、阿弥陀様が現れ、幸運をもたらしてくださるという信仰があるようです。しかし、結局は、月がのぼるまで、飲めや歌えのお祭り騒ぎだったみたいですね。
特に高輪(現在の高輪台と呼ばれるあたり)は、海を一望できる月見のメッカで、月の岬と呼ばれていたようです。なんともロマンチックな名前ですが、広重の「東都名所 高輪廿六夜待遊興之図」を見ると、屋台は出るわ、人はわさわさ集まってるわ、しっとりお月見とはほど遠い!
他に西日暮里の諏訪台(月見寺と呼ばれる本行寺もある)なども、いわゆる月見の人気スポットだったようですね。
・・・と、ウンチクはこんなところで、関連の催しをご紹介しましょう。
トラディショナルなお月見
■向島百花園「月見の会」
9月24日(月)~9月26日(水)
絵行灯(えあんどん)の明かりが揺れる中、琴の音が流れ、茶会などが行われます。期間中は21時まで開園。ちょうど萩が見頃。秋ですね。
行き帰り、 隅田川からの川風を感じながら、ふらりと夜の散歩もいいかもしれません。
[住所] 墨田区東向島3-18-3
[交通] 東武伊勢崎線「東向島」下車 徒歩約8分
[URL] 公園へ行こう!
■日枝神社「仲秋管弦祭」
2007年9月25日(火)18:00~
18時より。大都会の真ん中で、仲秋の佳き日に、神事に欠かせない「雅楽」が奏でられます。これには伝統ある雅楽を、正しく現代に伝えるという意味もあるようです。当日は日枝神社ならではの「山王太鼓」をはじめ、越殿楽(えてんらく)「雅楽」「神楽舞(巫女舞)」「舞楽」が予定されています。五感で月を愛でるにふさわしい夜になりそうです。
[住所] 千代田区永田町2-10-5
[交通] 地下鉄銀座線・南北線「溜池山王駅」(出口7)徒歩3分、千代田線「国会議事堂前駅」(出口5)徒歩5分
[URL] http://www.hiejinja.net/
■浜離宮恩賜庭園「中秋の名月と灯り遊び」
9月21日(金)~10月1日(月)
月夜の夜に庭園を散歩しませんか。21時まで開園時間が延長され(入園は20時半まで)ます。池の上に架かる橋の明かりと汐留のビルの光とのバランスが都会の幽玄を感じさせます。10月1日は都民の日のため、入園無料です。
昼間ならキバナコスモスなどの秋の花を愛でるのもいいですね。
[住所] 中央区浜離宮庭園1-1
[交通] 大江戸線「築地市場」「汐留」
[URL] 公園へ行こう!
■江戸東京たてもの園 「鍋島家年中行事:十三夜飾り」
10月16日(火)~10月23日(火)
2007年の十三夜は10月23日です。茅葺き民家で見上げる、少し冷たい秋の空に浮かぶ月。9月の頃とは、また違った風情があります。
[住所] 小金井市「小金井公園内」
[交通] JR中央線「東小金井駅」よりコミュニティバス、「武蔵小金井駅」北口よりバス5分
[URL] http://www.tatemonoen.jp/
■民家園でお月見
都内には、いくつかの古民家が保存されており、例年、十五夜に合わせ、お供えが用意されます。詳しくはお問い合わせください。
夜間の入園は難しいのですが、風の通る家に、お団子が供えられ、すすきが飾られた風景は、やはりマンションのベランダとはひと味違う。周囲は、いずれも自然豊かなところです。秋の散策がてら訪れてみてください。
●岡本公園民家園「十五夜のお月見お団子作り」
9月24日(月・祝)
[住所] 世田谷区岡本2-19
[交通] 田園都市線「二子玉川駅」からバス
[URL] 世田谷区
→次は、科学的に月を見てみると・・・