成層圏では紫外線を遮るという、大切な役目をしているオゾン。しかし、地上付近で発生する対流圏オゾンになると、悪役へと変貌します。どのような原理で発生し、どのような「悪行」を働くのか? 簡単ですがご説明したいと思います。
工場の煙突や車の排気ガスに含まれている硫黄酸化物、窒素酸化物、非メタン系炭化水素などが大気に混じり、真夏の強烈な太陽光線に含まれる紫外線が当たると複雑な化学反応を起こします。
すると、オゾン、PAN(パーオキシアセチルナイトレート)などが発生するのです。これらの酸化性物質の総称を光化学オキシダントといい、その濃度が高くなったときに光化学スモッグが発生します。そうです、このようにして発生したオゾンは、光化学スモッグの原因の一つだったのです。
4月から10月にかけて、気温が高くて日差しが強~い日の、風が弱い時に発生しやすく、もやがかかったように視界がかすんでいる時が要注意です。正午過ぎを中心にして前後数時間に人や植物などに被害を与えることがあります。
光化学スモッグが発生したときに、目がチカチカする、涙が出る、のどや鼻が痛い、息ぐるしい、といった経験はありませんか?
これは、オゾンなどの光化学オキシダントが空気中の濃度、0.1ppmを超えると、粘膜に強い刺激を与える為です。これ以上の濃度になると、肺水腫や肺炎を起こす恐れもある、とっても恐ろしい有害物質なのです。
その他の、光化学スモッグによると思われる症状には、手足のしびれ、呼吸困難、失神、などがあります。もしも、そのような症状が現れてしまったら、洗眼やうがいをして涼しい部屋で安静にするなどの応急措置をしてください。そして、最寄りの地方総合事務所環境保全課か市町村に連絡して下さい。
また、洗顔やうがいをしてもよくならないときは、医師の診察を受けましょう。場合により酸素吸入や入院加療が必要となるケースもあります。
問い合わせ・相談は、市役所、町村役場又は地方総合事務所環境保全課、保健所へ。
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