離婚/お金の問題

愛とお金の終着点「慰謝料」(2ページ目)

離婚時に一番問題になることは「慰謝料」と「親権」ではないでしょうか。今回のクローズアップではその1つ「慰謝料」についてお話してまいります。

岡野 あつこ

執筆者:岡野 あつこ

離婚ガイド

相手の支払い能力も考慮される
それ以外にも、結婚期間や子供の有無などが慰謝料の算定には考慮されます。そしてもう一つ重要なのが「相手の支払い能力」です。つまり、どんなに確実な証拠があったとしても、相手に支払い能力がなければ、意味がないということです。だから「●億円」の慰謝料は芸能人やスポーツ選手などの有名人やお金持ちにのみ有効というわけ。
そこで、一般人に対しては、家を売ったり、保険を解約したりして支払う方法がとられます。それが次に述べる「財産分与」の支払い方法であり、また、慰謝料と財産分与は元来性格の違うものなのだが、現在の日本ではそれらを「解決和解金」としてまとめて受け取るような形が定着しています。

慰謝料の請求はどうやっておこす?
慰謝料の請求は基本的には本人同士の問題なので双方が納得の上、決定するのが一番いい形ですが、すべてがそのようにうまくいくパターンとは限りません。特に希望の金額に大きな開きがある場合は、弁護士に依頼された方が良いでしょう。

また、この点は注意して頂きたいのですが、離婚日より請求期限は離婚後3年以内なのでその間に請求をしなければ、その権利はなくなってしまうので憶えておいてください。

またちょっと意味合いが違いますが、財産分与の請求期限は離婚後2年以内、その間に請求をしなければ、その権利はなくなってしまうので注意して下さい。対象になる主な財産は、不動産・預貯金・有価証券・生命保険・家財道具・会員権。年金や退職金が対象になる場合もあります。婚姻中協力して得た財産のすべてが対象になります。

さて、上記の説明を元に実際のケースを見てまいりましょう。

(ケース1) 慰謝料1億円を請求し、泥沼化した離婚劇

調停離婚
夫:25歳 妻:26歳 結婚生活 1年 子供:なし 慰謝料 50万円 財産分与 550万円
J子さんは25歳のとき、上司の紹介でお見合いをし、会社を経営する資産家の跡取り息子と結婚しました。けれども会社の次期社長であるはずの夫は典型的な道楽息子。役員とは名ばかりで、会社にもろくに出ず、いつも遊び歩いています。一緒に働くうちに、いつしかJ子さんの方が経営者である舅や社員から頼りにされていくようになりました。

もちろん夫は面白くありません。結婚して一年足らずで、浮気相手と一緒に暮らし始め、家に戻らなくなりました。J子さんはここぞとばかりに離婚を言い出しました。
「そもそもあんな男なんか好きじゃなかった。頼まれたから結婚してやったのに、こんな扱いされて。慰謝料一億円もらって離婚してやる!」

それまでは舅も姑もJ子さんに感謝し、気を遣っていたのですが、この言葉には呆れ、怒り出しました。しかし、J子さんは「ビタ一文負けられないわ」と言い張ります。
「財産目当ての結婚だったのでは?」と不信感を抱いた夫の両親は、J子さんの過去を徹底的に調査しました。そして結婚直前まで付き合っていた男がいたことまで突きつけたのです。

 離婚の原因は「夫の不貞行為」か「性格の不一致」か、という問題で調停は泥沼化しましたが、一年後、ようやく慰謝料と財産分与を合わせ、六百万円で決着したそうです。いくら実家がお金持ちでも、離婚に関してその財産は請求対象にはなりません。それ以外に会社から80万円の退職金が支払われたそうですが、弁護士にも100万円近く払わなければなりませんでしたしそれより何よりこの離婚騒動は狭い地方都市で格好の噂となり、J子さんは仕事を失っただけでなく、故郷でもあるその地を離れなければならなかったそうです。
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