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ロマンスカー信州へ行く~特急「ゆけむり」

特急「はこね」などで活躍した小田急ロマンスカーの車両が長野電鉄に移籍、2006年12月から、その名も特急「ゆけむり」として運転を開始。信州の山々に囲まれた地で第二の人生を歩む特急列車を紹介します。

執筆者:高橋 良算


小田急ロマンスカーといえば、新宿から箱根方面を結ぶ小田急電鉄の看板列車。そのロマンスカーで活躍した車両が、12月9日から長野電鉄を走ります。長野での列車名は「ゆけむり」。箱根への温泉客を運んだロマンスカーが、湯田中・渋といった有名温泉地へ向けて再び出発です。

信州へ行ったロマンスカー車両とは?

長野電鉄・特急ゆけむり
りんご畑を背景に快走する元ロマンスカー車両(夜間瀬ー上条間)
小田急ロマンスカーの車両には数種類あり、今回移籍したのは1987年にデビューした「HiSE 10000形」と呼ばれる車両。「HiSE」とは、「ハイデッカー(High-decker)」「ハイグレード(High-grade)」「ハイレベル(High-level)」な特急車両(Super Express)という意味があり、看板列車にかける意気込みが表れています。

「ハイデッカー」というのは、客室内の床面がホームよりも高くなっている構造のことで、入口に段差があるのですぐにわかります。着席時に視線が高くなるため眺望がよいのはもちろん、特急料金を払って乗る「特別な」車両なのだ、という雰囲気が濃くなります。

廃車の危機から信州での第二の人生へ

元東急8500系
長野電鉄では、元東急電鉄の車両なども活躍中(村山駅)
しかし、近年のバリアフリー指向においてはこのハイデッカー構造が仇になってしまったのです。段差はもちろん、乗車口の扉も狭く、車いす対応などの改造も難しいことから、2005年の3月に新型車両の「VSE 50000形」が登場したのを機に一部が引退。もうこのまま廃車になってしまうのではと思われました。

ところが、引退した車両の一部が、長野電鉄に無償で譲り渡されることに。都会で使用された車両がローカル私鉄で活躍を続けるというのは決して珍しいことではなく、長野電鉄でも、かつて旧営団地下鉄日比谷線や東急田園都市線を走っていた車両が今も現役。東京では別々だった車両たちが信州の地で一緒に働くというのが、なんとも面白いですね。

このロマンスカー車両も、小田急時代の11両編成から4両編成への組み替えや、冬の雪に備えた改造などが施されたものの、外装はほとんど変わらない状態で走ります。また、小田急ロマンスカーの象徴ともいえる展望席は「ゆけむり」でも健在で、列車の最前部・最後部に計28席があります。



次のページでは、満を持してデビューする特急「ゆけむり」乗車のポイントをご紹介します。
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