ある日の尾瀬夜行乗車記
ひときわ明るいネオンが輝く東武浅草駅 |
列車は定刻の23時55分に浅草駅5番ホームから出発。すると待ちかねたようにあちこちで缶ビールを開ける音が聞こえてきます。しかし、あと3時間30分後には列車を降りるわけですから、そうゆっくりも飲んでいられません。体力の消耗を防ぐためにも、早目に切り上げて仮眠をとった方がよいに決まっています。この列車に乗り慣れているのか、中には発車前から眠っている人もいました。
通勤電車の合間をぬって走るためか、浅草駅を出てしばらくの間はかなりゆっくり走ります。最初の停車駅北千住では10人ほど乗りましたが、この時点での乗車率は20%程度。
深夜の春日部駅が最後の停車駅 |
車内が暗くなって起きた「事件」
消灯されかなり暗くなった車内を、何かきょろきょろしながら歩いている人が。これは怪しいので意識をそちらに集中させていると、私の左斜め前の座席に腰を下ろしました。すると、あろうことか、すばやくタバコを取り出し火を付けたではありませんか!尾瀬夜行は全席禁煙。予想外の出来事にちょっとたじろぎましたが、すぐに席を立ちその犯人のところへ行くと、そこには白髪まじりの中年男性が座っていました。
「いくらなんでもそれはないでしょう?」と言うと、「あ、すんません……」と言いながら携帯灰皿に吸いがらを隠すとさっさと向こうへ行ってしまいました。あなた、謝るってことは、初めから悪いとわかっていてやっているわけですよね?
何とも後味の悪いことです。
その後しばらくは煙が周囲に滞留して閉口しましたが、しかし、あのような人間が尾瀬へ入ったらどんなことになるのか、それを考えると空恐ろしい気がします。
未明の終着駅、そして尾瀬へ
終着、会津高原尾瀬口駅はまだ暗い |
野岩鉄道は比較的新しい路線で、カーブが少なく長いトンネルが多く、さっきまでとは比べものにならないスピードでラストスパート。
そして定刻3時18分、会津高原尾瀬口駅へ静かに到着。外に出れば、清々しい山の空気と、虫たちカエルたちの大合唱がお出迎え。気温は15度くらいでしょうか、半袖はやめたほうがよいですね。
ここからは、会津バスの連絡バス3台に分乗して4時00分に駅を出発、さらに約1時間30分かけて尾瀬の入口を目指します。さすがにそのほとんどを眠っていましたが、途中ふと目を覚ますと、残雪多い燧ヶ岳(ひうちがたけ)が眼前に迫り、東京からたった数時間でこんなところにいるのはちょっと不思議な感覚でした。
沼山峠口は標高1,700m、尾瀬沼までは80分 |
その間、近くを散歩して過ごしましたが、もうそれだけでもかなり大量なマイナスイオンを浴び、清冽な雪解け水の中に咲く水芭蕉を眺め、相当なリフレッシュ効果が得られたようでした。
[関連サイト]
■尾瀬夜行23:55(東武鉄道)
■東武トラベル
■TOBULAND 東武鉄道沿線情報
■野岩鉄道
■尾瀬保護財団
■尾瀬桧枝岐温泉観光協会