苦労よりも作り上げる楽しさがやりがいに
この中に試行錯誤の成果が詰まっている |
「そんなの売れないよ!でした(笑)。大根なんて安い材料の弁当を、1,000円も出して買うわけないじゃん、って。それに、あまりにも身近すぎる食材なので、煮物以外にどう調理するんだ、というところも突っ込まれました」
その後、どんな調理法があるのかをインターネットや書籍で徹底的に調べ上げ、出てきた案を揚げ物、煮物などに分類して桃中軒に送り、実際に作れるかどうかの判断が返ってくる、という作業を繰り返していったそうです。
一方、学生たちと一緒にこのプロジェクトに取り組んだ、株式会社桃中軒の大井さんはこう打ち明けます。
「汁気の多い食材で弁当を作るというのはかなりリスクのあることなんです。だから、もともと水気の多い大根での弁当づくりは、現場もとても悩んでいました。それに駅弁は安定供給が第一。だから地元食材で、なおかつ旬のものだけで作るというのは、それだけでも大変です」
プロの立場からすると、ある程度様々な困難があるということが予想できたかもしれませんが、何とか学生さんたちの努力に応えたい、という気持ちが、それを克服することにつながったようです。またその気持ちは、三島市役所や三島市商工会をはじめ、野菜生産者、パッケージ業者など、このプロジェクトを支援した多くの人々にも共通の想いだったに違いありません。
ところで当の学生本人たちは、これまで誰もやらなかったことを、ひとつひとつ工夫しながら作り上げるところに大きなやりがいを感じ、あまり苦労とは思わなかったとか。そんな心意気も成功要因のひとつだったのでしょう。
手間とこだわりが、食べる人々の心をつかんだ
三島の美しい風景の中でいただきたい |
皆さんに話を聞いていると、そばを通りがかった女性が「このお弁当もうないの?」。販売ブースを見ると完売していて、「うわあ残念!ずっと探してたのよ・・・すぐ買いにくればよかったわ」と残念そう。前日にテレビで取り上げられたのだそうです。
また、近頃はリピーターが少しずつ増えてきているそうで、特にこれだけのおかずを作る手間をわかってくれる主婦層には、1,000円という値段の価値を理解していただけているのではないか、ということでした。
販売は2月28日まで!
これだけの熱意と想いがつまった駅弁ですが、残念なことに2月28日までの期間限定販売。もともと旬の大根を使った季節弁当ですので通年での販売は無理かと思いますが、できればこれからもずっと食べられるようになるとうれしいですね。また、新幹線車内での販売はありませんので、三島駅・沼津駅で途中下車して購入することになります。ただし、かなりの人気のため売切れ必至、ぜひ事前予約をおすすめします。
■『三嶋物語 おおね御膳』購入データ
・製造販売:株式会社桃中軒
・価格:1,000円(税込)
・販売箇所:三島駅・沼津駅
・販売期間:2006年2月28日まで
・電話:055-963-0154
■日本大学国際関係学部Kanaya-seminarたんぽぽ
■箱根ファーマーズカントリー
■静岡県三島市公式ホームページ
■駅弁の小窓
「おおね御膳」の制作にも協力された三島市出身の駅弁ファン「上ちゃん」さんの有名サイト