老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を繰り下げて税金や社会保険料が増えると、結局「損」になるのかについての質問です。専門家に質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
Q:年金を繰り下げると税金や保険料が増えるなら、結局「損」なのでしょうか?
「老齢年金の繰り下げ受給を検討しています。繰り下げれば年金額は増えるものの、その分、所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などが高くなることがあると聞きました。せっかく年金額を増やしても、税金や保険料が増えるのであれば、結局、繰り下げ受給は損なのでしょうか?」(Jさん)

A:税金や社会保険料が増えることだけで「繰り下げは損」とは言い切れません。額面ではなく手取りで比較することが大切です
老齢年金は、原則65歳から受け取れますが、希望すれば66歳以降75歳まで繰り下げることができ(昭和27年4月1日以前生まれの方は70歳まで)、繰り下げた期間1カ月につき0.7%ずつ年金額が増えます。例えば70歳まで5年間繰り下げれば42%増額され、原則としてその増額率は生涯続きます。
一方、老齢年金は一定額を超えると税金がかかります。また、国民健康保険料や介護保険料、75歳以降の後期高齢者医療保険料などは所得の影響を受けるため、繰り下げによって年金収入が増えると負担が増える場合があります。
さらに、所得が一定額を超えることで、住民税非課税世帯から外れたり、保険料の軽減措置などの対象から外れたりすることもあります。
そのため、「年金が42%増えるなら、手取りも42%増える」とは限りません。
ただし、税金や社会保険料が増えるという理由だけで、「繰り下げると損」と判断することもできません。繰り下げ受給は、受給開始を遅らせる代わりに、その後の年金額を生涯増やせる制度です。長生きすれば、65歳から受け取る場合より生涯の受取総額が多くなる可能性があります。
繰り下げ受給を検討するときは、増額後の年金額だけではなく、税金や社会保険料を差し引いた手取り額や、65歳から受け取らなかった年金額も含めて考えることが大切です。
ご自身の年金額やほかの所得によって税金・社会保険料の負担は異なります。「何歳まで受け取ると有利になるのか」も含めて、総合的に検討するとよいでしょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






