年金・老後のお金クリニック

70歳まで働く予定です。年金はいつから受け取るのがよいか、どんな点を考慮して決めればいいですか?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を受け取るタイミングについてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。今回は、年金を受け取るタイミングについてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:70歳まで働く予定です。年金はいつから受け取るのがよいか、どんな点を考慮して決めればいいですか?

「1963年生まれの62歳です。専業主婦の配偶者との二人暮らしです。現在は定年後の再雇用で、厚生年金に加入する契約社員として働いており、70歳まで続ける予定です。将来、年金を受給するタイミングについて、どのような点を考慮して決めればよいでしょうか?」(トキさん/62歳)
年金はいつから受け取ったらいい?(画像:PIXTA)

年金はいつから受け取ったらいい?(画像:PIXTA)

A:受給開始の判断は「働きながら減額されないか」「配偶者加給年金を取りこぼさないか」「繰り下げで増やすか」をセットで考えるのがポイントです

トキさんのように、65歳以降も厚生年金に加入して働く予定がある場合、年金をいつから受け取るかは、単に繰り下げで増やせるかどうかだけでなく、働いている間の減額(在職老齢年金)や、配偶者がいることで上乗せされる加給年金との相性も含めて決めるのが大切です。

まず押さえておきたいのが、働きながら老齢厚生年金を受け取ると、給与(賞与を含む)と老齢厚生年金の合計が一定額を超えたときに、超えた分の老齢厚生年金が支給停止(減額)になる仕組みがあることです(在職老齢年金)。

この「支給停止となる基準額」は見直しが進んでおり、2025年度時点では月51万円が目安、2026年4月からは賃金変動を踏まえた額として月62万円になる見込み、と公表されています。

つまり、65歳以降も今と同程度の給与水準で働く場合は、「もらっても、結局は止まる(減らされる)部分が出ないか」を先に確認しておく必要があります。

そのうえで、繰り下げ受給も有力な選択肢になります。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳で受け取らずに66歳以後75歳まで繰り下げると、繰り下げ月数に応じて1カ月当たり0.7%ずつ増額され、増えた分は一生続きます(昭和27年4月1日以前に生まれた人は70歳まで)。老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることもできます。

ただし注意点として、繰り下げ待機中は「加給年金額は受け取れない」こと、そして繰り下げで増額される計算の対象に「加給年金額は含まれない」ことが明記されています。

ここでトキさんのご家庭に関係しやすいのが、配偶者加給年金です。老齢厚生年金の加入期間が原則20年以上などの要件を満たし、65歳到達時点で生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合、老齢厚生年金に加給年金が上乗せされます。金額は受給者の生年月日により特別加算がつき、昭和18年4月2日以後生まれの人で要件を満たす場合、配偶者分は年額41万5900円(2025年4月度)とされています。

一方で、老齢厚生年金そのものを繰り下げしてしまうと、その繰り下げ期間中は加給年金も受け取れません。さらに、その間に配偶者が65歳に到達してしまうと、「本来なら上乗せされていた期間」をまるごと取り逃す形になり得ます。

以上を踏まえると、トキさんのケースで現実的な考え方は次のようになります。

給与収入で当面の生活費が賄えていて、かつ在職老齢年金で老齢厚生年金が減らされそうなら、「働いている間は老齢厚生年金を急いで受け取らない(または受け取っても減額を織り込む)」という判断は合理的です。減らされた(支給停止された)分は、繰り下げで増える対象にもならないため、もらい方次第で増やしどころが変わってきます。

一方で、配偶者が65歳未満で加給年金の要件に当てはまりそうなら、「老齢厚生年金は65歳から受け取り、加給年金を確保しつつ、老齢基礎年金だけ繰り下げる」という組み合わせは検討価値があります。老齢基礎年金は繰り下げで増やしやすく、老齢厚生年金側は加給年金を取りこぼしにくいからです(ただし老齢厚生年金を受け取り始める以上、在職老齢年金による減額リスクは残ります)。

最終的には、「長生きしたときの安心(繰り下げで増やす)」と「今の安心感(早めに受け取って家計の土台を作る)」のどちらを重視するか、健康状態や働き方の見通しも含めて、ご夫婦で優先順位をそろえるのが近道です。まずは、65歳以降の給与見込み(賞与含む)と、65歳時点の老齢厚生年金額がだいたい分かると、在職老齢年金で減りそうか・加給年金をどれくらい受け取れそうかが判断しやすくなります。

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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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