資産運用

数十年ぶりの金利上昇、金融機関の預金金利に大きな差が出始めている!?

日本の金利が数十年ぶりの水準まで上昇していることが話題となっています。「デフレ」から「インフレ」に変化した背景は4つ考えられます。そして、金利上昇局面で「考えるべきこと」も解説していきます。※サムネイル画像:PIXTA

田代 昌之

田代 昌之

資産運用 ガイド

1979年生まれ、北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)やシティバンクなどを経て金融情報会社に入社。アナリスト業務やコンプライアンス業務、グループの暗号資産交換業者や証券会社の取締役に従事し、2024年よりフリー。ラジオNIKKEIでパーソナリティを務めている。

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金利が上昇。どこにお金を預ければいい?(画像:PIXTA)

金利が上昇。どこにお金を預ければいい?(画像:PIXTA)

最近、「金利が上昇しています」というニュースをよく見かけるようになりました。ゆうちょ銀行などに預けっぱなしの普通預金の金利が上昇していることに気付く方も徐々に増えています。

でも、「金利ってそもそも何?」「なぜ今、上昇しているの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、金利が上昇している背景を分かりやすく整理してみます。

1つ目はインフレ(物価の上昇)

インフレとは、簡単に言うと「同じお金で買えるものが減っていく状態」です。最近、スーパーで買い物をしていて、「前より高くなったな」と感じたことはありませんか。例えば、パンや麺類の原料である小麦は値上がりが続いています。食用油、バター、チーズ、牛乳なども値段が上がり、外食ではラーメンや定食が以前より高くなっています。こうした食品価格の上昇は、私たちの生活に直接影響します。

物の値段が上がり過ぎると、生活は苦しくなります。そこで各国の中央銀行は、「お金を使わないようにする」ために金利を引き上げます。金利が上昇すると、ローンを組みにくくなり、お金の動きが少し落ち着きます。その結果、物価の上昇を抑えようとするのです。

2つ目は世界の不安定な情勢(地政学リスク)

ロシアとウクライナの戦争は、ニュースで見ない日はないほど続いています。この影響で、ガスや石油などのエネルギー価格が一時上がりました。また、ウクライナは小麦の生産国でもあるため、パンやパスタなどの価格にも影響が出ました。「遠い国の戦争なのに、なぜ日本の生活費が上がるの?」と不思議に思うかもしれませんが、世界は物流など経済の観点では密接につながっているのです。

さらに、アメリカではトランプ前大統領の動きも注目されています。2025年春、世界各国を対象に高い関税を導入するとトランプ大統領が発表したことで世界の金融市場は大混乱に陥りました。いったんこの流れは改善しましたが、2026年に入り、デンマーク領グリーンランド獲得に関連し欧州各国に再び高い関税を導入するといった話が持ち上がっており、トランプ外交に対する警戒は強いままです。

今後、強い保護主義的な政策が取られれば、世界的な貿易が混乱する可能性があります。こうした「何が起きるか分からない」という不安があると、世界のお金の流れは慎重になり、金利が上がりやすくなります。

3つ目は日本銀行による利上げ

日本は長い間、「デフレ」と呼ばれる、物価がほとんど上がらない状態が続いてきました。そのため、金利もずっと低いままでした。しかし、最近は、物価が上がり、少しずつですが給料など労働者の賃金も上がり始めています。

日本の金利を決定する中央銀行である日本銀行は「もうデフレではなくなりつつある」と判断し、金利を上げる方向へ動き始めました。これは、日本が長年続いた特別な低金利の時代から、普通の状態へ戻りつつあることを意味します。政府は「デフレではない」と公表していませんが、金利の動きだけを見る限り「もはやデフレではない」といった表現は適切かと思います。

4つ目は政府が掲げる財政政策

高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、国がしっかりお金を使って経済を支えようとしています。生活支援や成長投資への期待がある一方で、「国の借金が増え過ぎないか」「将来、物価がもっと上がるのではないか」と心配する声もあります。こうした不安は、じわじわと金利に影響を与えることがあります。

このように、金利が上昇している現在は、物価の上昇、世界の不安、日本の金融政策、政治や財政への見方が重なって起きています。「金利が上昇する」というのは、決して特別な出来事ではなく、私たちの生活の変化が反映された結果なのです。

この金利上昇の状況下、何に気を付けるべきか

金利上昇局面は、生活者にとって「預け先を見直すチャンス」となります。まさに「マインドリセット」のタイミングですが、メリット・デメリットともにありますので注意が必要です。

金融機関の預金金利に変化が?

ゆうちょ銀行など金融機関では、預金者に対する金利に変化が出ます。年率0.01%など超低金利だったデフレ時代は金利に変化をつけることが難しかったため、どの金融機関もほぼ同じような金利を預金する人に提示していました。

一方、金利上昇局面では、金融機関の経営方針や財務状況によって提示する金利に差が出始めます。預金を獲得するために、「新規口座開設時の限定金利」を導入する金融機関も増えるでしょう。

その際、生活に使用する資金(生活防衛資金)を除いた当面使用する予定がない余剰資金は、「定期預金」や「個人向け国債」などに預け替えるのも手です。

「定期預金」や「個人向け国債」は、金融機関や国が潰れない(破綻しない)限り元本は保証されるため、株式投資などハイリスク・ハイリターンな金融商品をお望みではない方に適しています。2019年に年率0.1%(税金考慮せず)前後だった「1年もの定期預金」が、2026年1月時点では年率1%(税金考慮せず)を超える金融機関が出始めました。

変動型住宅ローンにはご注意

ただ、金利が上がる局面で気を付けることもあります。それはローンなど借金に適用される金利も上がる可能性が高い点です。代表的なのが「変動型住宅ローン(変動型ローン)」でしょう。変動型ローンを保有している場合、まず気を付けたいのは金利上昇による返済額の変化です。変動型ローンは、市場金利の動きに応じて定期的に金利が見直されます。

そのため、現在の返済額が低く抑えられていても、将来の金利上昇によって返済負担が増える可能性があります。「今は問題ない」と感じていても、長期的には家計への影響を想定しておくことが重要です。

特に注意したいのが、返済額の増え方が急ではないものの、確実に積み上がる点です。多くの金融機関では「5年ルール(金利が上昇しても、毎月の返済額は5年間据え置かれるという仕組み)」や「125%ルール(5年ごとの返済額見直しの際に、新しい返済額がそれまでの1.25倍(125%)までに抑えられるという仕組み)」があり、返済額が急激に増えない仕組みになっています。

しかし、金利が上がり続けると、元金がなかなか減らず、利息の支払いが増える状態が続くこともあります。その結果、気付かないうちに総返済額が大きく膨らむ可能性があります。

また、将来のライフイベントも考慮する必要があります。教育費や老後資金が本格的に必要になる時期に住宅ローンの返済額が増えると、家計の余裕が一気に失われることもあります。定期的にローン残高や金利条件を確認し、必要に応じて固定型への借り換えや繰り上げ返済を検討することが安心につながります。変動型ローンは低金利の恩恵を受けやすい一方、金利上昇局面ではリスクも伴います。

「失われた30年」は終了?

今、日本は「失われた30年」と言われたデフレとは異なるインフレの時代を迎えています。「金融機関の金利はどこも同じじゃん」「だって『超低金利』だから」という時代は終わりました。

ご自身のライフスタイルに合った預金金利を選べるチャンスが到来しました。ぜひ、前向きに金利上昇と向き合ってはいかがでしょうか。
 
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