Q:72歳・正社員として働いています。退職した場合、年金の支給額に影響するのは「基本給」と「総支給額」のどちらですか?
「現在72歳で、正社員として働いています。退職を考えていますが、年金の支給額に影響するのは、基本給なのか、それとも各種手当を含めた総支給額なのか、どちらでしょうか?」(ももさん)
退職後の年金額はどう決まる?(画像:PIXTA)
A:年金額に影響するのは基本給ではなく、「総支給額」をもとに決まる標準報酬月額や標準賞与額です
結論からいうと、年金額に影響するのは「基本給」そのものではありません。基本給や各種手当を含めた総支給額をもとに決まる「標準報酬月額」と「標準賞与額」が、年金額の計算に使われます。老齢厚生年金の年金額は、主に次の要素を合計した金額です。
老齢厚生年金額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
このうち、実際の給与水準と最も関係が深いのが「報酬比例部分」です。報酬比例部分は、厚生年金の加入期間や、その間に受け取っていた報酬額に応じて決まる年金です。この計算に使われるのが、「標準報酬月額」と「標準賞与額」です。
標準報酬月額とは、毎月の給与を一定の幅で区分した金額のことです。令和7年現在、厚生年金の標準報酬月額は、8万8000円から65万円まで、32等級に分かれています。
ここでいう「給与」には、基本給だけでなく、残業手当や通勤手当、住宅手当など、税引き前で労働の対価として支払われるものが広く含まれます。
つまり、年金額の計算では、基本給だけを見るのではなく、総支給額に近い金額をもとに等級が決まる仕組みです。
賞与については、「標準賞与額」として年金の計算に反映されます。標準賞与額とは、税引き前の賞与額から1000円未満を切り捨てた金額で、1回の支給につき上限は150万円です。年3回以下で支給される賞与が対象になります。
なお、厚生年金は、70歳に到達すると加入資格を失います。そのため、ももさんが72歳で受け取っている給与は、すでに厚生年金保険料や将来の年金額には影響しません。年金額は、70歳までの加入期間と報酬をもとに確定しています。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






