Q:30歳の娘が会社勤めをしておらず、厚生年金にも国民年金にも加入していません。このままだと将来、年金は1円ももらえないのでしょうか?
「30歳の娘が現在、会社に勤めておらず、厚生年金にも国民年金にも加入していない状態です。このまま何もしなければ、将来の年金は本当にもらえなくなってしまうのでしょうか?」(ひまわりさん)
将来の年金はどうなる?(画像:PIXTA)
A:年金に一切加入しない状態が続けば老齢年金は受け取れませんが、今から国民年金に加入すれば65歳から年金を受け取れます
結論からいうと、年金に一度も加入せず、保険料も納めないまま60歳を迎えてしまうと、老齢年金は受け取れません。ただし、今からでも国民年金に加入して保険料を納めれば、将来65歳から老齢基礎年金を受け取れます。老齢基礎年金を受け取るためには、原則として10年以上の加入期間(保険料を納めた期間など)が必要です。
会社勤めをしておらず厚生年金に加入していなくても、20歳以上60歳未満の人であれば、自分で手続きをすることで国民年金に加入できます。手続きは市区町村の窓口や年金事務所で行えます。
30歳から国民年金に加入した場合、老齢基礎年金はいくらもらえる?
国民年金は、20歳から60歳までの40年間(480カ月)全て保険料を納めると、老齢基礎年金を満額で年額83万1700円(2025年度)、月額にすると約6万9308円を受け取れます。ひまわりさんの娘さんが、仮に30歳から60歳までの30年間(360カ月)国民年金保険料を納めた場合、すでに20歳から30歳までの10年間は未納期間となるため、その分、年金額は満額より減額されます。
計算すると……
83万1700円×360カ月÷480カ月=約62万3775円
となり、年額およそ62万円、月額では約5万2000円の老齢基礎年金を受け取れる見込みです。
もし60歳時点でも会社勤めをしておらず、厚生年金に加入していない場合には、国民年金の任意加入制度を利用する方法があります。60歳から65歳までの間に国民年金へ任意加入し、過去の未納期間分の保険料を納めることで、老齢基礎年金の受給額を増やすことが可能です。
また、今後会社に勤めて厚生年金に加入することになれば、老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金が上乗せされます。厚生年金に加入すると、将来の年金額が増えるだけでなく、障害年金や遺族年金、医療保障といった面でも保障が手厚くなります。
今からの行動で将来の年金は変えられる
30歳で年金に未加入の状態が続けば、将来の年金に影響が出るのは事実です。しかし、今から国民年金に加入して保険料を納めれば、65歳から年金を受け取れます。さらに、任意加入や厚生年金への加入によって、年金額を増やす道も残されています。健康状態や働き方も考慮しながら、無理のない形で年金加入について検討してみてはいかがでしょうか。
※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






