Q:64歳の男性です。退職すれば「44年特例」を受けられますが、そのまま65歳まで働くと年金はどうなりますか?
「2025年8月現在、64歳の男性です。厚生年金を44年以上掛けています。退職すれば『44年特例』を受けられますが、特例を使わずに65歳まで働いた場合、年金にはどんな影響がありますか?」(メイの父さん)
今退職すると44年特例が受けられます……(画像:PIXTA)
A:「44年特例」を受けるには退職して厚生年金の被保険者でなくなる必要があります。同じ職場で働き続ける場合、特例は使えず、65歳前は『報酬比例部分のみ』が支給されます。また、働いている間は収入によって年金が一部停止される可能性があります
質問者のメイの父さんは2025年8月時点で64歳。厚生年金に44年以上加入しているとのことから、1961年1~3月生まれ(男性は特別支給の老齢厚生年金の対象)と考えられます。ここで登場する「44年特例」は、特別支給の老齢厚生年金のうち「報酬比例部分」を受給できる人が、退職などにより厚生年金の被保険者でなくなった場合に、65歳になる前でも「定額部分」まで受け取れるという制度です。
「44年特例」は、厚生年金の被保険者でなくなった場合に限り適用されるので、退職することが条件です。もし被保険者のまま働き続ける場合は「定額部分」は支給されません。
65歳まで働けば結局「44年特例」は使わずに65歳を迎えることになりますので、働き続ける場合、64~65歳の間に受け取れるのは「報酬比例部分のみ」になります。
60歳以上で老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)を受け取りながら働くと、「在職老齢年金」の仕組みにより年金が調整されることがあります。令和7年度の支給停止基準額は51万円。
老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と総報酬月額相当額(目安として給与+賞与÷12)の合計が51万円を超えると、特別支給の老齢厚生年金は一部または全額が支給停止となります。質問者の給与額によっては、この在職老齢年金制度の影響を受ける可能性があります。
ですが、厚生年金保険料を払い続けた分は無駄にはならず、65歳以降の老齢厚生年金に反映されます。65歳到達時に改めて年金額が再計算され、加入期間が長い分だけ年金額が上乗せされることになります。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






