Q:昭和33年9月生まれの男性。年金が約50万円支給停止になりましたが、同じ給与で70歳まで働いた場合、年金は増えるのでしょうか?
「昭和33年9月生まれの男性です。老齢厚生年金を受け取りながら働いています。今年の年金額改定で、年額約50万円が支給停止になりました。このまま同じ給与で70歳まで働いた場合、年金は増えるのでしょうか?」(特命船員さん)
年金が約50万円支給停止となりました(画像:PIXTA)
A:70歳まで厚生年金に加入できるため、働いた分は毎年少しずつ確実に老齢厚生年金に反映されます。ただし、働いている間は収入によって老齢厚生年金が支給停止される可能性があります
老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「在職老齢年金」の仕組みにより、給与と年金の合計額が一定基準を超えると、年金が一部または全額支給停止となることがあります。令和7年度の支給停止基準額は51万円です。老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と総報酬月額相当額(給与+賞与÷12)の合計がこの金額を超えると、老齢厚生年金額の調整が行われます。
特命船員さんの年金が年額約50万円支給停止されたのは、この在職老齢年金制度の影響によるものです。なお、老齢基礎年金はこの制度の対象外なので、収入により支給停止になることはありません。
厚生年金は、原則70歳になるまで加入できます。加入期間が増えるほど、将来の老齢厚生年金の金額は確実に増えていきます。
特に、65歳以降に厚生年金に加入している場合は、毎年9月時点で前年9月~当年8月までの加入実績が反映され、10月分(12月支給分)から自動的に年金額が増額されます。これを「在職定時改定」といいます。
在職中は収入によって年金が一時的に支給停止されることがありますが、70歳まで働き続ければ、その間の厚生年金保険料は毎年の「在職定時改定」で着実に年金額に反映されます。
特命船員さんは、70歳まで働き続けるとのこと、在職老齢年金で一時的に減額されることはあっても、70歳まで働き続ければ、その分の厚生年金は毎年増えていきます。支給停止があるからといって、支払った厚生年金保険料が無駄になるわけではありません。
※専門家に取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)






